きらめき高校吹奏楽部 ~もしきら高に歴代ヒロインがみんな居たら~ 渡り廊下のトゥーランドット
見てくださって、ありがとうございます死んでしまった!
はよざいまーす。バギクロスです。
でじこやってるとはいえ、こちらも更新していきますよー。
これがねー、スマブラ買ってたらおそらくこんなに更新できなかったでしょうが、やるゲームも特に無いので使える時間は殆どブログの更新に使っちゃってる状態なんですよ。あ、でもこの前友達とカラオケいったりはしましたが。
壊れかけのradioめちゃきつい!
伸ばして次のフレーズに繋げるってことが無いから、休符の後に同じだけのエネルギーで歌うのが大変ですよねあの曲。しかも超ぉ高いしw
ていうか文化祭どうしようかなぁ。
どうやって進めていこうか…。
以下本文
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走るのなんて大嫌いな自分が、誰かに追われてもいないのに必死こいて走っている。
今日で終わったヒーローショーのバイトもきつかったし、もともと走ったりするのは好きな方ではない。そんな高見 直人が、きらめき中央の駅から出るや否や急に走り出したのだが、大倉 都子がこの話を聞いたら間違いなく「嘘よ」と言っただろう。
しかし事実彼は走っていた。
市街地のアーケードを小走りで駆け抜け、商店街へ通じる細い路地に入り込んで先を急ぎ、はぁはぁ言いながらショルダーバッグをランドセルみたいにかるって1人持久走を展開する。
いち早くたどり着きたい。
今までのバイトはこのためだけに頑張ってきたんだ。早く…早く!
急ぎに急いで商店街のメインストリートを横切って再び細い通路へ曲がると、ひとつの店の前で立ち止まり、呼吸を整えた。
「…ハァ、ハァハァ……ふう」
気持ちと荒い呼吸を落ち着けて、店のドアに手をかけた。いつかここに来た時のように、ドアが嫌な音を立てて開く。
少し薄暗い店内を奥へと進み、カウンターへ…。
「……あっ」
声が漏れた。と同時に心臓が大きな音を見えない心電図に叩いた。
ショーケースにあるべきはずの、あの楽器が無い。
ひとめぼれをしたあの楽器が…。
まるで、同じバス停に同じ時間に現れる気になるあの子が、ある日をさかいに突然こなくなったかのような気分だった。お気に入りの動画が突然消されて見られなくなったみたいだった。好きな野球選手が引退したみたいだった。愛用のお茶碗が割れたみたいだった。
動揺している。
どこいったんだよ。俺が買いたかったあの楽器は、いったい…。
「ああ、いらっしゃい」
また驚いた。沈んでいた顔を上げると、あの少しハゲかかったぽっちゃりのおじさん店員が、飄々とした笑みを浮かべて店の奥からやってきた。
「あ、あの。あの楽器はどこにいったんですか?」
もう頭にはそれしかなかった。
直人がそれを訊くと、おじさんは「ああ~」と笑みを浮かべる。
「売れたら困るんちゃうかなと思って、下げといたわ。
なに?また見たい?」
あぁ…すげー安心した。
内心ほっとしながら、直人は「今日は違うんです」と答える。
「やっと、お金貯まったんです。
だから、今日はあの楽器を買いに来ました。
売ってください、お願いします!」
「おお…そうか、貯まったんか。
ほな、ちょっと待ってな」
相変わらず関西弁と標準語が混ざるおじさん。彼はのそのそと店の裏に再び下がると、1分後に楽器ケースと、何か色んなものが入ったつり道具を入れるケースみたいなものを持ってカウンターに戻ってくると、それらをカウンターに置いた。
「ほら、これやろ。一応中身確認してな」
おじさんが見せてきたケースは、黒くて古さを感じるハードケース。直人が居た中学校にもこんなサックスのハードケースは置いてあったが、ここまで古めかしい感じはなかったと記憶している。
角などには傷跡が散見できるし、ロック部分の金属はところどころメッキがはがれてしまっている。
「ごめん。ぼくな、固いマクラ好きやってん」
直人がケースを凝視していると、おじさんはそう言って苦笑し始めた。直人には、その言葉がどういう意味だかわかったような気がした。
「あっ、いえ…」
それしか答えられなかった。目の前の中年のおじさんがこの楽器と辿った過酷な運命を想像すると、どんな言葉を返しても陳腐なそれになりそうで、うかつに何も言えなかった。
「あっ、とりあえず中身見てくれる?」
「あ、はい、すいません」
ケースのロックを外し、上に蓋を持ち上げる。
…確かに、こないだの楽器だ。見間違うはずもない、コルクや他のサックスのパーツを移植された不恰好な姿。しかし、その不恰好なそれがどんなに豊かな声で流暢に言葉を発するのか、直人はよく知っている。むしろこんな出達であるこの楽器だけを夢見て、今まで慣れないバイトを頑張ってきた。
「間違いないです。この楽器です」
「せやろ。
…先、お代いただこうか。
ドライな話は先に済ませた方がええもんな」
正直言うと、遊園地のバイト代を足しても楽器を買うお金は作れなかった。だが都子になんとか頼み込んで9月分のお小遣いを前借りし、ギリギリで8万円に達したのである。
そのなけなしのお金が入った給料袋から全部の中身をカウンターにぶちまけて、おじさんと2人で確認した。
「うん、確かに。
…ごめんな、学生さんからこんなようけもらって」
「いえいえ、全然大丈夫です。
お陰で社会勉強もできたし、頑張れました」
「うんうん、謙虚でええこっちゃ。
あっ、あとな。
こっちは僕から君にプレゼント。
重いけど、持ってかえったって」
そう言っておじさんは、釣具入れのケース?みたいなのと、サックスのソフトケースを出してくれた。
「えっ!いいんですか?」
「実は言うと売り物やったのもあるんだけど…。
お店つぶれたら全部僕が持ってかえらなあかん。
それやったら誰か未来がある人が使ってくれた方が
ええかなーて思って」
直人は露骨に嬉しそうな顔をし、「ありがとうございます!」と大きく言い、静かな店内を明るくした。
ソフトケースは黒の布地。
これを肩にかけてるだけで、いかにもMY楽器を持っているように見えるだろうなと想像するだけでわくわくが止まらない。
それと、釣具入れには何が入っているのか?
開けてみると同時に、直人は「うわっ!」と声を発した。それほど衝撃的だった。
中にぎっしり入っていたのは、サックスに関係する様々な道具。
ラッカークロスプロ、リードカッター、ジャズ用のメタルマウスピース、廃盤になったRICOのリードやハーネスストラップなど…購入して集めると明らかに万単位だろうと思われるほどの道具の数々が、かなりの重量でケースに収まっている。
「えっ、えーっ!
これほんとに貰っていいんですか!?
…なんか、呪われてるとかないですよね!?」
「アホ言わんときーな、あはは。
さっきも言ったけど、もう売れる見込みも無い古いものとか
そういうデッドストックばっかりやから、君が持っていって
役に立つんやったらその方がええて。
あっでもコルクとか色々入ってるけど下手に調整とか
したらあかんよ。僕んとこ持ってきてくれたらいくらでも
したげるから」
「はい!そのときはお願いします。
…でも、どうして俺なんですか?
他にもあげるようなお客さんはいるはずなのに…」
確かに都合が良すぎる。良い楽器を安く売ってくれるだけでもありがたいが、こんなによくしてもらえるとかえって怖くなる。
「…うーん、なんでやろなぁ…。
強いて言うなら、あれかな。
君の持ってるものに惹かれたっちゅうことかな」
「持ってるもの??」
「君がその楽器を初めて吹いた時、
ちょっとした音階吹いただけですぐにわかったわ。
ああ、昔の僕以上のものを持ってるなって」
…まただ。
俺が何かを持っている…。そのことは、詩織にも言われた。けれどいったい俺が何を持っているのかは、全然わからない。音が綺麗ってだけなのか?それとも、音が大きいってことか?
でもそれくらいなら誰でも何か持ってることにならないか?
取り立てて特別視することもない気がしてならない。
けど、この楽器となら、その俺が持ってるものとやらを出せるんだろうか。
…それはわからないけど、間違いなく何か別のものが見えると思う。聞こえると思う。
「頑張ってな。
また、その楽器に色々見せたってほしい。
色んな舞台とか、風景とか、人とか、
今目の前にあるものとちゃう、自分の頭ん中の世界とかな。
はは、ちょっとくさい話してんな。歳取るの嫌やわ。
店なくなっても、また来てな。
その楽器の音、また聞きたいし。
文化祭も演奏あんねやろ?観にいくわ」
「はい!ほんとに…ほんとにありがとうございました!」
テナーサックスの楽器は結構重たい。
店を後にし、ハードケースと釣具ケースを両手に持ち、ソフトケースを肩にかけて歩いたのだが、あまり腕力が無い上にバイトの疲れもあって、家までがやけに遠く感じた。
早くこの楽器を吹きたいという気持ちもあるし、単純に疲れているのもあって、目の前の光景が全然印象に残らないくらいぼーっとした頭を垂れて、だらだら歩く。たまに楽器ケースと釣具ケースを持つ手を入れ替えたりしつつ、帰ったのが15分後のこと。
家に着くと、直人の母が出迎えてくれた。
「あら、学校の楽器持ってかえってきたの?
いいけど吹かないでよ?近所迷惑なんだから」
「いや、これ俺の楽器。
買ってきた」
「へっ!?
あぁ、そう…。ふーん…」
そんなやりとりを振り切って、2階の自分の部屋へ。
釣具ケースを机の傍に置き、楽器ケースをベッドのすぐ近くに置く。すると、途端にどっと疲れが出た。
ああ、もう疲れた。
いやあ、この夏休み、色々あったけど頑張れたなぁ…。自分の楽器も買えたし、マジで最高だよ。
明日からの2学期が楽しみだ。文化祭、この楽器でがんば……。
がんば……。
「あーーーっ!!!」
しまった!!!
そうだ、もう2学期じゃん、つーことはあれじゃん、宿題出すんじゃん!!
直人は慌てて携帯電話をポケットから出しスワイプしてタップして、耳にあてる。
[もしもーし。なに?]
「た、たすけてみやこ!!
やばいどうしよう!!」
[…ちょっ、もー、また?
どうせ夏休みの宿題でしょ?
あとどのくらい残ってるのよ]
「…ほとんど」
[はぁ!?何考えてんのよ!もうあと12時間で学校よ!
間に合うわけないじゃない!
と、とにかく今からそっち行くから!]
「くすん…ごめんよぉ」
結局この日は夜中までかかって2人で宿題をした。事情を話すと直人の母は都子の分も夕食を用意し、高見家+都子で夕食を食べた。なぜか、直人の父はちょっと上機嫌だった。宿題をしていないことをとがめられるかと思ったが、別にそんなことはなくてちょっと助かった気分だ。
「お前なあ。毎年都子ちゃんを困らすなよ」
「ほんとよ!」
両親共に都子の肩を持つので、直人はもう何も言い返せずに「すいません…」と腰を低くする他なかった。
絶対にありえないことだが、都子と結婚したらこんなことになるんだろうか、と思えて直人は少し苦笑した。大倉さん宅はともかく、高見家の両親たちは、息子の嫁に来るのが都子なら大歓迎だろう。だが、当の本人たちにはその気は一切無い。はずだ。
こんなに手がかかる男は嫌だろうし、直人から見ても、都子の女子力は高い。料理もできるし裁縫もできる。なんだかんだ言ってノリも良くて優しいし、それなりに女々しくて可愛いところもある。言ってみれば理想的な「ふつうの女の子」だ。そんな奴がいい男の1人も探さずに隣の家の男の子で妥協するなんてまずありえない。
だから、別に夜遅くまで部屋で宿題をしても何も起きたりはしない。
たまに手が触れて「あっ……///」なんてことはない。文句を言われれば冗談を返し、宿題の話をしたり適当な話をしたり、男友達と遊ぶかのように接するだけだ。
やっと9月1日の2時くらいに宿題が終わったとき、直人は頭を低くして感謝を述べ、「あと4時間後に会いましょう」と冗談半分に起こしに来てくれと頼んだ。
「…もー、頼むから来年はちゃんとしてよね。
どうせあんた、今年の夏はずっと遊びまわってたんでしょ?」
「いや、別にそんなことはないけど…。
バイトで忙しかったし」
「バイト!?何よそれ、聞いてないわよあたし」
「別にお前に俺の行動を全部報告する必要なんてないでしょ?」
「ふーん、そういうこと言うんだ。
…ああ、なるほどね。
お小遣い一日前借りしたのも、そういうこと」
都子は、ベッドの脇に置いてある古い楽器ケースを見てそう言う。
「ああ、うん」
何気なく返事した直人だったが、彼の返事がどこか嬉しそうなのが都子にはすぐわかった。宿題に付き合わされてだるい気持ちもあったが、彼のそんな様子を見ていると、自分も嬉しくなった。
「へぇー。見ていい?」
「うん。ちょうど、明日持っていくためにソフトケースに
入れようと思ってたし、出すよ」
直人がケースのすぐ傍に座り、ロックを外して開ける。
すると、すぐ横に都子もおばあちゃん座りでやってきた。
2人の視界に入ってきたその不思議でちぐはぐな姿の楽器の不可解さに、都子は「えっ、なにこれ」と口許を押さえた。ラッカーの部分が主だが、ハイトーンのキーには銀の部分があり、キイカバーはプラチナ系。サックスで言うキマイラみたいなこの楽器を見て、都子はなんと言ったらいいかわからなくなってしまった。
「これ…えっ?古い楽器なの?
状態はよさそうだけど…」
「うん、古い楽器。
でも、俺は見た目ってより音に惚れちゃってさ。
今すぐ吹いて聞かせたいくらいだよ。
ほんと、すげーんだから」
まさに吹くのが楽しみで仕方ない、と遠足前夜の幼稚園児のような、ワクワクがにじみ出る口調で話す幼馴染の横顔を見ていると、彼がどんな思いでこの楽器を買ったのかがわかった気がして、都子も自然と笑みを浮かべた。
…練習もあるのに毎日アルバイトして、お金貯めて頑張ってこの楽器買ったんだ。ほんとあんた、音楽のことになると一生懸命よね。こうやって近くで見てると、なんか変なこと考えちゃうなぁ…。
この人がカレシだったら、なんか頼もしいなって。
いや、絶対ありえないけどさ。だってあんたは昔から面倒くさがりでだらしないとこあるけど、優しいしたまにかっこいいこと言うし、やる時はやる奴だし…。
一見あんたは普通だから、今まではあんたの良さとか気付いてる人は少なかった。けど、きらめき高校に入ってからは結構女の子と話してるとこも多く見かけるようになった。
そうよ…あんたは悪い人じゃないんだから、ちゃんとした出会いがあればすぐにカノジョだってできると思う。そんなあんたが、いまさら私を好きだって言うわけないし。
「…ふーん。頑張ったんだ」
「まあね」
「…それってやっぱり、和泉さんのため…?」
言われて、直人は少し黙る。そう思う節もあったからだ。
だが…。
「違う、そうじゃない。
…俺のためだよ」
「…そっか。
ねえ、明日の朝練でその楽器の音聞かせてよ。
宿題写させてあげたんだから、私があんたの新しい音聞く
第一号になったっていいでしょ?」
「ああ。いいよ全然。
よかったら感想とかも聞かせてほしいかな。
本気で吹こうと思うし」
本気で吹く…その言葉の響きが、都子にはなんだか意外だった。
そういえばこんなに付き合いが長いけれど、彼の独奏を観客として聴いたことは一度もない。通常、同じ楽器でもない仲間にわざわざ演奏を聞いてもらうといったことはあまりしないし、直人がこれまでソロコンテストに参加するといったこともなかったために部活の行事でも彼がひとりきりで舞台に立つことはなかった。
じゃあ、初めて直人の音を私が独り占めにできるんだ。
…なぜかそんなことを思ってから、「あれ?なんでそんなこと考えたんだろ…」と違和感に表情を曇らせる。
「うん。大したこと言えないかもしれないけど」
「そんなの、いいよ全然」
「…じゃあ、あたし帰るね。
シャワー浴びて早く寝なきゃ」
「ああ。
…ごめんいろいろ。
すぐそこだけど、時間が時間だし、一応送るよ」
――そうして大倉家の前で別れた数時間後、また2人して高見家を出た。睡眠時間も少ないし、一段と直人がぐずるかと思われたが、眠りが浅かったのか、それとも早く楽器が吹きたかったのか、その辺の理由はわからないがとにかく意外と簡単に起きた。
昨日の内に用意したサックス入りのソフトケースを右肩に、2学期の最初ゆえにいつもより中身の入った通学かばんを左肩に背負って家を出た彼。横を歩きながらポニーテールの幼馴染は、何気なくこんなことを言う。
「なんか、似合うね」
「なにが?」
「そのサックスのかばん持って歩いてるとこ」
「そうかな」
ちょっと照れくさかった。でも、楽器は吹いてこそのもの。たとえ外見的に似合っていようが、皐月から継承したあの楽器の方が良い音を出すとすれば、あくまでこの楽器は学校外での練習だけで運用するしかなくなる。
この楽器が良い音を出すことは直人自身がよく知っているが、自分が吹いたのは簡単な音階だけ。曲で使えない可能性もまだ捨てられない。だとしたら、何のためにアルバイトまでしたのか、ということになるが…。
しかし、不思議なことに、直人はあまり不安でなかった。
いかにレストアされた楽器であっても、この楽器はかつて1人の男が夢を託し、その夢を背負った楽器なのだ。今度は自分の気持ちも受けいれてくれるような…そんな気がしてならないのだ。
やがて学校に着いて、いつもの3階の渡り廊下へ。
「とりあえずいつも通り体操と呼吸練から入る」
「ああ、あんた中学の練習今も毎日やってるんだっけ。
…じゃあ、今日はあたしもやろっかな」
「オッケー、とりまやってくか」
背伸びの運動、目の運動、口の運動…。やがて合唱部の朝練や他の吹奏楽部の仲間の音がし始める中、2人は念入りにウォーミングアップを怠らない。
こうして都子と中学時代の練習をしていると、中学時代のことが思い出される。
「勉強もできない運動もできない部活もだめ。
じゃあなんであんた生きてんのよ」
「そんな音で吹くんだったら吹かない方がマシ。
早く部活辞めーや」
「うざ、何回同じとこ注意されるん。
やる気も才能もないね」
…ずっとそうやって言われてきた。
俺には何もない…だからせめて基礎だけはと思って妥協しないように基礎練ばっかしてきた。曲だって、才能無いのわかってるから言われたところだけでもちゃんとしないといけないと思って、何度も何度もできるまでバカみたいに練習した。
そんな俺が何を持ってるっていうんだよ。
全然わかんねーし、未だに自信なんかない。
でも…やらなきゃいけないんだ。
俺1人の問題じゃない。いつだってそうだった。
俺が怒られてたのは、先輩たちが俺のことを思ってきついことをついつい言ってた、とかそんな生易しいことじゃない。俺のミスが先輩たちの目標を台無しにするかもしれなかったからだ。
俺が音程を乱せば他の人もそれに合わせないといけなくなって和音がにごる。俺が縦をずらしたら他の人が一生懸命合わせた意味がまったくなくなる。だから、いっそいなくなれとか言われてたんだ。
…今のきら高に入ってからは、そういう高い目標に挑戦する機会も失われたから、前ほど切羽詰って毎日練習してるわけじゃない。
でも、俺の音が誰かを活かして、誰かのお手本になって、誰かを感動させられるとしたら?俺の音が、大切な約束を守れるとしたら?
全校集会は俺にとってほんとに希望そのものだった。
何も見えない暗闇で手探りして、やっと見つけた手ごたえだったんだ。
もう、なんでもいい。何を持ってるかはわからないけど、なんか持ってんだとしたら、とにかくそれを舞台の上で出したい。
「…よし。
じゃあ、吹くよ」
「うん」
都子が目の前に立っている。
いつもよりも少し重量を感じるテナーを構え、マウスピースを口に持っていく。
改めて構えてみると、いくつかのこと気付く。ハイトーンのキーが高さ調節してあって、左手が妙に馴染む。それにオクターブキーにもローラーがついていて、親指の回転は潤滑に行えそうだ。
…何を吹こうか。
今までこの楽器はカウンターで眠っていて、俺が来てようやく目を覚ましたんだよな。だから、最初の挨拶を改めてしたい。
そう考えると、頭の中にはペールギュントの第一組曲/朝であるとか、エルガーの愛の挨拶が頭に浮かぶ。だが、あえて直人はどちらでもない曲を選択した。
それはテナーサックスの名アリア。直人自身、ルチアーノ・パヴァロッティのCDに収録されたこの曲を何度聴いたかわからない。
「誰も寝てはならぬ」
静かに、息を止めれば何の音もしなくなるような夜の静寂の中に、自分の言葉を空気へと溶け込ませていくような出だし。
そして、ゆっくり、ゆっくりとクレッシェンドをかけていく。地球が長い年月をかけて自転をするように、全体を通して見なければ気がつかないほど、繊細に、微細にエネルギーを高めていく。
…俺は、高見 直人と言います。きらめき高校の1年A組で、サックスは5年以上やってて…。
そんな風に、少しずつ少しずつ、手元の楽器に語りかけていくような気持ちだった。丁寧に、ゆっくりゆっくりと時間をかけて自己紹介していく。けど、本当に言いたいことはそんなことじゃない。
音は、小さいにも関わらず何故か太かった。
ピアノかピアニッシモか、そんな音量なのにホールの奥まで届きそうなほどに存在感のある音は、きらめき高校の渡り廊下から静かに波紋のように広がっていく。
…ふと、屋上に居た館林 見晴は楽器を吹くのをやめた。
これは、彼の音だよね?でも、なんだかいつもと違うような…。
…また、渡井 かずみもそうだった。時間を無駄にするのを嫌う彼女が、楽器を降ろして辺りをキョロキョロとする。
片桐 彩子も、八重 花桜梨も、同様に違和感を覚えて楽器を吹くのをやめた。少しずつ大きくなりつつあるこのテナーサックスの響きを、可聴領域に入れたいがために。
いつもとはどこか違う豊満で濃密なテナーの音。徐々にクレッシェンドしていくそれを聴いて、藤崎 詩織は思った。…ああ、これは彼の音だ、と。
「私の秘密は私の内にあり」
…俺が何を持ってんのか。それはまだわかんない。でも、今度はあのおっさんじゃなくて、俺の夢を託したい。
「朝の光が輝く時に!
そして私の口づけは沈黙を解くだろう」
どうしても守らなきゃいけない約束があるんだ。
俺1人じゃどうしても守れそうにない。だから、力を貸してほしい!
……音は、強く大きく自然に深まっていく。もうフォルテッシモか?そう思うほど大きくなるのに、まだ大きくなる、それでいて粗さの素肌が全然曝されない。
「夜よ、失せよ!
…星よ、没せよ!
夜明けになれば私の勝ちだ!」
高まった感情が音になって、まるでいっぱいになったグラスからこぼれ落ちるようにキラキラと輝いた。その音は、きらめき高校の朝の空気の粒すべてを震わせているみたいだった。
「…私は勝つ! 勝つことになる!」
…その宣言を、多くの人が聞いた。一番近くで聞いていたポニーテールの女子は、胸が熱くなってしまった。
「……すごい」
それが都子の素直な感想だった。確かに彼は本気で吹くと言っていた。でも、こんなにまで情緒に染み入ってくる演奏ができるなんて…いつの間にか大きくなったのだな、と都子は心から感心した。
「は?すごいじゃなくてなんか感想言ってよ」
疲れたー、とばかりに苦笑して肩をすくめる直人。一生懸命吹いたつもりでも、やっぱり第三者の耳にどう聞こえているのかを聞くまでは安心できないのだ。
――その瞬間、どこからかハンドクラップの音がした。
パチパチ。
パチパチパチ。
手を打つ拍手の音の人数はじわりじわりと増え、5人、6人と伝染していく。
次第に、直人の中に何か安心感がこみあげてきた。
…俺の気持ち、この楽器に伝わったのかな、って。
「…ふうー。
お粗末様でした」
そう言ってちょっと満足そうにテナーのオクターブキーをカチカチと押す直人。目の前に立つ都子には、それがどこか「これからよろしく」と語りかけているようにも見えた。
…私からもお願い。
直人の約束、守れるように力を貸してあげて。
都子は胸に手をやって優しい微笑を浮かべると、金に銀に白金の輝きを併せ持つ不思議な楽器を見つめ、密かにそう思った。
「ああ、とりあえずなんか安心。
『誰も寝てはならぬ』吹いたけど、これで
現国の時間、心おきなく寝れるわ」
冗談を言って後ろ頭を掻くテナーサックスの彼。
…と、急にどこからかまた拍手が聞こえてきた。
もう先ほどから続いていた拍手は止んだ。なのに遅れてやってきたこの拍手は?
誰だ?どこからだ?
直人が辺りを見回すと、教室棟の方から拍手をしながら上級生の女子がやってくるのが見えた。
「おはよう、高見君」
微笑を浮かべてやってきたのは、3年生の元生徒会長、皐月 優だった。
多分、つづく
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※余談コーナー ぼくの思い出
高校のころ、ぼくの知り合い(知り合いというほど軽薄な仲ではないのですが、迷惑がかかるといけないのでこういう広い言い方にしておきます)の楽器店が閉店しました。
その際、商品がいくらか余ったそうで、その知り合いがぼくに様々な楽器関係の道具をくれました。小説で出したように、リードカッターやメタルのジャズのマッピなどをもらったのですが、その中でもリードのV16とかRICOのふるーいリードとかは特にお気に入りでした。
完全に賞味期限切れで、課題曲や自由曲を吹くのには到底使えないものでしたが、ジャズやポップスだとなかなか使えるんですよ。ささくれだった音や、かすれて渇いた音を敢えて出すのによく使ってました。まあ今でも10数枚くらい残っているんですが、前ほど基礎をする時間がないので普通のリードしか使わなくなっちゃいました。
なんていうんですかね。ブルース・スプリングティーンじゃないけど、味のある音を出すのに重宝してて、定演とか文化祭の演奏では、曲と曲の間にマウスピースやらリードをチェンジして吹いて、音を使い分けてました。
それがよかったのか悪かったのかは、よくわかりません。
ただ、決まってそういう試みをするとき、ぼくは同級生で同じ楽器の女の子に「これアリだと思う?」って聞いてました。
その子はぼくよりも歴が長くて勘もあるんですが、激しいイップス持ちで、なかなかオーディションに受からず、最後まで一軍に入ることができませんでした。けれど、全然下手くそとかでくくれるような人ではなく、ぼくは何度もアドバイスを求めて話を聞いてました。
特に、この小説でいう全校集会のときみたいにアドリブソロをやったとき、なかなか形が決まらず迷ったんですが、色々その子に聞いてもらううち、ある一言を言われて形を決めたのをよく覚えてます。
「前の吹き方の方がバギクロスくんらしいかな」
今でもぼくらしい吹き方っていったいなんなのかはわかりません。でも、音が大きいとか綺麗とか、そんな当たり前のことを高い水準でやる、っていう正統派の上手さだけが評価されるなんておもしろくないと思ってたので、1人でもぼくのことを認めてくれてる人がいるっていうのはすごく嬉しかったです。
まあ直人君には正統派な上手さを目指してもらいますけどね 笑
彼はぼくよりもはるかに基礎ができているので、ぼくみたいな小細工を使った工夫をすればさらに幅が出るんじゃないかと思います。なので、彼もゆくゆくはこの話で貰った道具を駆使して音色を変えたりする話を出そっかなーと思います。
某知り合い、ありがとう。道具にあんまし頼るのもどうかと思うけれど、ぼくってこんな音が出せるんだっていう発見がたくさんできて楽しかったです。
あなたがぼくを助けて、今度は直人君を助けるわけですw
と、まあくさい話になっちゃいましたが、以前どっかで書いたように、かつてぼくが言えなかったありがとうやごめんなさいをこの小説の中で言えたらなぁとか思ってます。基本的にこの小説は性善説です。
これからも細々やっていくんで、ときメモとはあんま関係ないとこも書いちゃいますが、よろしくお願いします。では~。
はよざいまーす。バギクロスです。
でじこやってるとはいえ、こちらも更新していきますよー。
これがねー、スマブラ買ってたらおそらくこんなに更新できなかったでしょうが、やるゲームも特に無いので使える時間は殆どブログの更新に使っちゃってる状態なんですよ。あ、でもこの前友達とカラオケいったりはしましたが。
壊れかけのradioめちゃきつい!
伸ばして次のフレーズに繋げるってことが無いから、休符の後に同じだけのエネルギーで歌うのが大変ですよねあの曲。しかも超ぉ高いしw
ていうか文化祭どうしようかなぁ。
どうやって進めていこうか…。
以下本文
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走るのなんて大嫌いな自分が、誰かに追われてもいないのに必死こいて走っている。
今日で終わったヒーローショーのバイトもきつかったし、もともと走ったりするのは好きな方ではない。そんな高見 直人が、きらめき中央の駅から出るや否や急に走り出したのだが、大倉 都子がこの話を聞いたら間違いなく「嘘よ」と言っただろう。
しかし事実彼は走っていた。
市街地のアーケードを小走りで駆け抜け、商店街へ通じる細い路地に入り込んで先を急ぎ、はぁはぁ言いながらショルダーバッグをランドセルみたいにかるって1人持久走を展開する。
いち早くたどり着きたい。
今までのバイトはこのためだけに頑張ってきたんだ。早く…早く!
急ぎに急いで商店街のメインストリートを横切って再び細い通路へ曲がると、ひとつの店の前で立ち止まり、呼吸を整えた。
「…ハァ、ハァハァ……ふう」
気持ちと荒い呼吸を落ち着けて、店のドアに手をかけた。いつかここに来た時のように、ドアが嫌な音を立てて開く。
少し薄暗い店内を奥へと進み、カウンターへ…。
「……あっ」
声が漏れた。と同時に心臓が大きな音を見えない心電図に叩いた。
ショーケースにあるべきはずの、あの楽器が無い。
ひとめぼれをしたあの楽器が…。
まるで、同じバス停に同じ時間に現れる気になるあの子が、ある日をさかいに突然こなくなったかのような気分だった。お気に入りの動画が突然消されて見られなくなったみたいだった。好きな野球選手が引退したみたいだった。愛用のお茶碗が割れたみたいだった。
動揺している。
どこいったんだよ。俺が買いたかったあの楽器は、いったい…。
「ああ、いらっしゃい」
また驚いた。沈んでいた顔を上げると、あの少しハゲかかったぽっちゃりのおじさん店員が、飄々とした笑みを浮かべて店の奥からやってきた。
「あ、あの。あの楽器はどこにいったんですか?」
もう頭にはそれしかなかった。
直人がそれを訊くと、おじさんは「ああ~」と笑みを浮かべる。
「売れたら困るんちゃうかなと思って、下げといたわ。
なに?また見たい?」
あぁ…すげー安心した。
内心ほっとしながら、直人は「今日は違うんです」と答える。
「やっと、お金貯まったんです。
だから、今日はあの楽器を買いに来ました。
売ってください、お願いします!」
「おお…そうか、貯まったんか。
ほな、ちょっと待ってな」
相変わらず関西弁と標準語が混ざるおじさん。彼はのそのそと店の裏に再び下がると、1分後に楽器ケースと、何か色んなものが入ったつり道具を入れるケースみたいなものを持ってカウンターに戻ってくると、それらをカウンターに置いた。
「ほら、これやろ。一応中身確認してな」
おじさんが見せてきたケースは、黒くて古さを感じるハードケース。直人が居た中学校にもこんなサックスのハードケースは置いてあったが、ここまで古めかしい感じはなかったと記憶している。
角などには傷跡が散見できるし、ロック部分の金属はところどころメッキがはがれてしまっている。
「ごめん。ぼくな、固いマクラ好きやってん」
直人がケースを凝視していると、おじさんはそう言って苦笑し始めた。直人には、その言葉がどういう意味だかわかったような気がした。
「あっ、いえ…」
それしか答えられなかった。目の前の中年のおじさんがこの楽器と辿った過酷な運命を想像すると、どんな言葉を返しても陳腐なそれになりそうで、うかつに何も言えなかった。
「あっ、とりあえず中身見てくれる?」
「あ、はい、すいません」
ケースのロックを外し、上に蓋を持ち上げる。
…確かに、こないだの楽器だ。見間違うはずもない、コルクや他のサックスのパーツを移植された不恰好な姿。しかし、その不恰好なそれがどんなに豊かな声で流暢に言葉を発するのか、直人はよく知っている。むしろこんな出達であるこの楽器だけを夢見て、今まで慣れないバイトを頑張ってきた。
「間違いないです。この楽器です」
「せやろ。
…先、お代いただこうか。
ドライな話は先に済ませた方がええもんな」
正直言うと、遊園地のバイト代を足しても楽器を買うお金は作れなかった。だが都子になんとか頼み込んで9月分のお小遣いを前借りし、ギリギリで8万円に達したのである。
そのなけなしのお金が入った給料袋から全部の中身をカウンターにぶちまけて、おじさんと2人で確認した。
「うん、確かに。
…ごめんな、学生さんからこんなようけもらって」
「いえいえ、全然大丈夫です。
お陰で社会勉強もできたし、頑張れました」
「うんうん、謙虚でええこっちゃ。
あっ、あとな。
こっちは僕から君にプレゼント。
重いけど、持ってかえったって」
そう言っておじさんは、釣具入れのケース?みたいなのと、サックスのソフトケースを出してくれた。
「えっ!いいんですか?」
「実は言うと売り物やったのもあるんだけど…。
お店つぶれたら全部僕が持ってかえらなあかん。
それやったら誰か未来がある人が使ってくれた方が
ええかなーて思って」
直人は露骨に嬉しそうな顔をし、「ありがとうございます!」と大きく言い、静かな店内を明るくした。
ソフトケースは黒の布地。
これを肩にかけてるだけで、いかにもMY楽器を持っているように見えるだろうなと想像するだけでわくわくが止まらない。
それと、釣具入れには何が入っているのか?
開けてみると同時に、直人は「うわっ!」と声を発した。それほど衝撃的だった。
中にぎっしり入っていたのは、サックスに関係する様々な道具。
ラッカークロスプロ、リードカッター、ジャズ用のメタルマウスピース、廃盤になったRICOのリードやハーネスストラップなど…購入して集めると明らかに万単位だろうと思われるほどの道具の数々が、かなりの重量でケースに収まっている。
「えっ、えーっ!
これほんとに貰っていいんですか!?
…なんか、呪われてるとかないですよね!?」
「アホ言わんときーな、あはは。
さっきも言ったけど、もう売れる見込みも無い古いものとか
そういうデッドストックばっかりやから、君が持っていって
役に立つんやったらその方がええて。
あっでもコルクとか色々入ってるけど下手に調整とか
したらあかんよ。僕んとこ持ってきてくれたらいくらでも
したげるから」
「はい!そのときはお願いします。
…でも、どうして俺なんですか?
他にもあげるようなお客さんはいるはずなのに…」
確かに都合が良すぎる。良い楽器を安く売ってくれるだけでもありがたいが、こんなによくしてもらえるとかえって怖くなる。
「…うーん、なんでやろなぁ…。
強いて言うなら、あれかな。
君の持ってるものに惹かれたっちゅうことかな」
「持ってるもの??」
「君がその楽器を初めて吹いた時、
ちょっとした音階吹いただけですぐにわかったわ。
ああ、昔の僕以上のものを持ってるなって」
…まただ。
俺が何かを持っている…。そのことは、詩織にも言われた。けれどいったい俺が何を持っているのかは、全然わからない。音が綺麗ってだけなのか?それとも、音が大きいってことか?
でもそれくらいなら誰でも何か持ってることにならないか?
取り立てて特別視することもない気がしてならない。
けど、この楽器となら、その俺が持ってるものとやらを出せるんだろうか。
…それはわからないけど、間違いなく何か別のものが見えると思う。聞こえると思う。
「頑張ってな。
また、その楽器に色々見せたってほしい。
色んな舞台とか、風景とか、人とか、
今目の前にあるものとちゃう、自分の頭ん中の世界とかな。
はは、ちょっとくさい話してんな。歳取るの嫌やわ。
店なくなっても、また来てな。
その楽器の音、また聞きたいし。
文化祭も演奏あんねやろ?観にいくわ」
「はい!ほんとに…ほんとにありがとうございました!」
テナーサックスの楽器は結構重たい。
店を後にし、ハードケースと釣具ケースを両手に持ち、ソフトケースを肩にかけて歩いたのだが、あまり腕力が無い上にバイトの疲れもあって、家までがやけに遠く感じた。
早くこの楽器を吹きたいという気持ちもあるし、単純に疲れているのもあって、目の前の光景が全然印象に残らないくらいぼーっとした頭を垂れて、だらだら歩く。たまに楽器ケースと釣具ケースを持つ手を入れ替えたりしつつ、帰ったのが15分後のこと。
家に着くと、直人の母が出迎えてくれた。
「あら、学校の楽器持ってかえってきたの?
いいけど吹かないでよ?近所迷惑なんだから」
「いや、これ俺の楽器。
買ってきた」
「へっ!?
あぁ、そう…。ふーん…」
そんなやりとりを振り切って、2階の自分の部屋へ。
釣具ケースを机の傍に置き、楽器ケースをベッドのすぐ近くに置く。すると、途端にどっと疲れが出た。
ああ、もう疲れた。
いやあ、この夏休み、色々あったけど頑張れたなぁ…。自分の楽器も買えたし、マジで最高だよ。
明日からの2学期が楽しみだ。文化祭、この楽器でがんば……。
がんば……。
「あーーーっ!!!」
しまった!!!
そうだ、もう2学期じゃん、つーことはあれじゃん、宿題出すんじゃん!!
直人は慌てて携帯電話をポケットから出しスワイプしてタップして、耳にあてる。
[もしもーし。なに?]
「た、たすけてみやこ!!
やばいどうしよう!!」
[…ちょっ、もー、また?
どうせ夏休みの宿題でしょ?
あとどのくらい残ってるのよ]
「…ほとんど」
[はぁ!?何考えてんのよ!もうあと12時間で学校よ!
間に合うわけないじゃない!
と、とにかく今からそっち行くから!]
「くすん…ごめんよぉ」
結局この日は夜中までかかって2人で宿題をした。事情を話すと直人の母は都子の分も夕食を用意し、高見家+都子で夕食を食べた。なぜか、直人の父はちょっと上機嫌だった。宿題をしていないことをとがめられるかと思ったが、別にそんなことはなくてちょっと助かった気分だ。
「お前なあ。毎年都子ちゃんを困らすなよ」
「ほんとよ!」
両親共に都子の肩を持つので、直人はもう何も言い返せずに「すいません…」と腰を低くする他なかった。
絶対にありえないことだが、都子と結婚したらこんなことになるんだろうか、と思えて直人は少し苦笑した。大倉さん宅はともかく、高見家の両親たちは、息子の嫁に来るのが都子なら大歓迎だろう。だが、当の本人たちにはその気は一切無い。はずだ。
こんなに手がかかる男は嫌だろうし、直人から見ても、都子の女子力は高い。料理もできるし裁縫もできる。なんだかんだ言ってノリも良くて優しいし、それなりに女々しくて可愛いところもある。言ってみれば理想的な「ふつうの女の子」だ。そんな奴がいい男の1人も探さずに隣の家の男の子で妥協するなんてまずありえない。
だから、別に夜遅くまで部屋で宿題をしても何も起きたりはしない。
たまに手が触れて「あっ……///」なんてことはない。文句を言われれば冗談を返し、宿題の話をしたり適当な話をしたり、男友達と遊ぶかのように接するだけだ。
やっと9月1日の2時くらいに宿題が終わったとき、直人は頭を低くして感謝を述べ、「あと4時間後に会いましょう」と冗談半分に起こしに来てくれと頼んだ。
「…もー、頼むから来年はちゃんとしてよね。
どうせあんた、今年の夏はずっと遊びまわってたんでしょ?」
「いや、別にそんなことはないけど…。
バイトで忙しかったし」
「バイト!?何よそれ、聞いてないわよあたし」
「別にお前に俺の行動を全部報告する必要なんてないでしょ?」
「ふーん、そういうこと言うんだ。
…ああ、なるほどね。
お小遣い一日前借りしたのも、そういうこと」
都子は、ベッドの脇に置いてある古い楽器ケースを見てそう言う。
「ああ、うん」
何気なく返事した直人だったが、彼の返事がどこか嬉しそうなのが都子にはすぐわかった。宿題に付き合わされてだるい気持ちもあったが、彼のそんな様子を見ていると、自分も嬉しくなった。
「へぇー。見ていい?」
「うん。ちょうど、明日持っていくためにソフトケースに
入れようと思ってたし、出すよ」
直人がケースのすぐ傍に座り、ロックを外して開ける。
すると、すぐ横に都子もおばあちゃん座りでやってきた。
2人の視界に入ってきたその不思議でちぐはぐな姿の楽器の不可解さに、都子は「えっ、なにこれ」と口許を押さえた。ラッカーの部分が主だが、ハイトーンのキーには銀の部分があり、キイカバーはプラチナ系。サックスで言うキマイラみたいなこの楽器を見て、都子はなんと言ったらいいかわからなくなってしまった。
「これ…えっ?古い楽器なの?
状態はよさそうだけど…」
「うん、古い楽器。
でも、俺は見た目ってより音に惚れちゃってさ。
今すぐ吹いて聞かせたいくらいだよ。
ほんと、すげーんだから」
まさに吹くのが楽しみで仕方ない、と遠足前夜の幼稚園児のような、ワクワクがにじみ出る口調で話す幼馴染の横顔を見ていると、彼がどんな思いでこの楽器を買ったのかがわかった気がして、都子も自然と笑みを浮かべた。
…練習もあるのに毎日アルバイトして、お金貯めて頑張ってこの楽器買ったんだ。ほんとあんた、音楽のことになると一生懸命よね。こうやって近くで見てると、なんか変なこと考えちゃうなぁ…。
この人がカレシだったら、なんか頼もしいなって。
いや、絶対ありえないけどさ。だってあんたは昔から面倒くさがりでだらしないとこあるけど、優しいしたまにかっこいいこと言うし、やる時はやる奴だし…。
一見あんたは普通だから、今まではあんたの良さとか気付いてる人は少なかった。けど、きらめき高校に入ってからは結構女の子と話してるとこも多く見かけるようになった。
そうよ…あんたは悪い人じゃないんだから、ちゃんとした出会いがあればすぐにカノジョだってできると思う。そんなあんたが、いまさら私を好きだって言うわけないし。
「…ふーん。頑張ったんだ」
「まあね」
「…それってやっぱり、和泉さんのため…?」
言われて、直人は少し黙る。そう思う節もあったからだ。
だが…。
「違う、そうじゃない。
…俺のためだよ」
「…そっか。
ねえ、明日の朝練でその楽器の音聞かせてよ。
宿題写させてあげたんだから、私があんたの新しい音聞く
第一号になったっていいでしょ?」
「ああ。いいよ全然。
よかったら感想とかも聞かせてほしいかな。
本気で吹こうと思うし」
本気で吹く…その言葉の響きが、都子にはなんだか意外だった。
そういえばこんなに付き合いが長いけれど、彼の独奏を観客として聴いたことは一度もない。通常、同じ楽器でもない仲間にわざわざ演奏を聞いてもらうといったことはあまりしないし、直人がこれまでソロコンテストに参加するといったこともなかったために部活の行事でも彼がひとりきりで舞台に立つことはなかった。
じゃあ、初めて直人の音を私が独り占めにできるんだ。
…なぜかそんなことを思ってから、「あれ?なんでそんなこと考えたんだろ…」と違和感に表情を曇らせる。
「うん。大したこと言えないかもしれないけど」
「そんなの、いいよ全然」
「…じゃあ、あたし帰るね。
シャワー浴びて早く寝なきゃ」
「ああ。
…ごめんいろいろ。
すぐそこだけど、時間が時間だし、一応送るよ」
――そうして大倉家の前で別れた数時間後、また2人して高見家を出た。睡眠時間も少ないし、一段と直人がぐずるかと思われたが、眠りが浅かったのか、それとも早く楽器が吹きたかったのか、その辺の理由はわからないがとにかく意外と簡単に起きた。
昨日の内に用意したサックス入りのソフトケースを右肩に、2学期の最初ゆえにいつもより中身の入った通学かばんを左肩に背負って家を出た彼。横を歩きながらポニーテールの幼馴染は、何気なくこんなことを言う。
「なんか、似合うね」
「なにが?」
「そのサックスのかばん持って歩いてるとこ」
「そうかな」
ちょっと照れくさかった。でも、楽器は吹いてこそのもの。たとえ外見的に似合っていようが、皐月から継承したあの楽器の方が良い音を出すとすれば、あくまでこの楽器は学校外での練習だけで運用するしかなくなる。
この楽器が良い音を出すことは直人自身がよく知っているが、自分が吹いたのは簡単な音階だけ。曲で使えない可能性もまだ捨てられない。だとしたら、何のためにアルバイトまでしたのか、ということになるが…。
しかし、不思議なことに、直人はあまり不安でなかった。
いかにレストアされた楽器であっても、この楽器はかつて1人の男が夢を託し、その夢を背負った楽器なのだ。今度は自分の気持ちも受けいれてくれるような…そんな気がしてならないのだ。
やがて学校に着いて、いつもの3階の渡り廊下へ。
「とりあえずいつも通り体操と呼吸練から入る」
「ああ、あんた中学の練習今も毎日やってるんだっけ。
…じゃあ、今日はあたしもやろっかな」
「オッケー、とりまやってくか」
背伸びの運動、目の運動、口の運動…。やがて合唱部の朝練や他の吹奏楽部の仲間の音がし始める中、2人は念入りにウォーミングアップを怠らない。
こうして都子と中学時代の練習をしていると、中学時代のことが思い出される。
「勉強もできない運動もできない部活もだめ。
じゃあなんであんた生きてんのよ」
「そんな音で吹くんだったら吹かない方がマシ。
早く部活辞めーや」
「うざ、何回同じとこ注意されるん。
やる気も才能もないね」
…ずっとそうやって言われてきた。
俺には何もない…だからせめて基礎だけはと思って妥協しないように基礎練ばっかしてきた。曲だって、才能無いのわかってるから言われたところだけでもちゃんとしないといけないと思って、何度も何度もできるまでバカみたいに練習した。
そんな俺が何を持ってるっていうんだよ。
全然わかんねーし、未だに自信なんかない。
でも…やらなきゃいけないんだ。
俺1人の問題じゃない。いつだってそうだった。
俺が怒られてたのは、先輩たちが俺のことを思ってきついことをついつい言ってた、とかそんな生易しいことじゃない。俺のミスが先輩たちの目標を台無しにするかもしれなかったからだ。
俺が音程を乱せば他の人もそれに合わせないといけなくなって和音がにごる。俺が縦をずらしたら他の人が一生懸命合わせた意味がまったくなくなる。だから、いっそいなくなれとか言われてたんだ。
…今のきら高に入ってからは、そういう高い目標に挑戦する機会も失われたから、前ほど切羽詰って毎日練習してるわけじゃない。
でも、俺の音が誰かを活かして、誰かのお手本になって、誰かを感動させられるとしたら?俺の音が、大切な約束を守れるとしたら?
全校集会は俺にとってほんとに希望そのものだった。
何も見えない暗闇で手探りして、やっと見つけた手ごたえだったんだ。
もう、なんでもいい。何を持ってるかはわからないけど、なんか持ってんだとしたら、とにかくそれを舞台の上で出したい。
「…よし。
じゃあ、吹くよ」
「うん」
都子が目の前に立っている。
いつもよりも少し重量を感じるテナーを構え、マウスピースを口に持っていく。
改めて構えてみると、いくつかのこと気付く。ハイトーンのキーが高さ調節してあって、左手が妙に馴染む。それにオクターブキーにもローラーがついていて、親指の回転は潤滑に行えそうだ。
…何を吹こうか。
今までこの楽器はカウンターで眠っていて、俺が来てようやく目を覚ましたんだよな。だから、最初の挨拶を改めてしたい。
そう考えると、頭の中にはペールギュントの第一組曲/朝であるとか、エルガーの愛の挨拶が頭に浮かぶ。だが、あえて直人はどちらでもない曲を選択した。
それはテナーサックスの名アリア。直人自身、ルチアーノ・パヴァロッティのCDに収録されたこの曲を何度聴いたかわからない。
「誰も寝てはならぬ」
静かに、息を止めれば何の音もしなくなるような夜の静寂の中に、自分の言葉を空気へと溶け込ませていくような出だし。
そして、ゆっくり、ゆっくりとクレッシェンドをかけていく。地球が長い年月をかけて自転をするように、全体を通して見なければ気がつかないほど、繊細に、微細にエネルギーを高めていく。
…俺は、高見 直人と言います。きらめき高校の1年A組で、サックスは5年以上やってて…。
そんな風に、少しずつ少しずつ、手元の楽器に語りかけていくような気持ちだった。丁寧に、ゆっくりゆっくりと時間をかけて自己紹介していく。けど、本当に言いたいことはそんなことじゃない。
音は、小さいにも関わらず何故か太かった。
ピアノかピアニッシモか、そんな音量なのにホールの奥まで届きそうなほどに存在感のある音は、きらめき高校の渡り廊下から静かに波紋のように広がっていく。
…ふと、屋上に居た館林 見晴は楽器を吹くのをやめた。
これは、彼の音だよね?でも、なんだかいつもと違うような…。
…また、渡井 かずみもそうだった。時間を無駄にするのを嫌う彼女が、楽器を降ろして辺りをキョロキョロとする。
片桐 彩子も、八重 花桜梨も、同様に違和感を覚えて楽器を吹くのをやめた。少しずつ大きくなりつつあるこのテナーサックスの響きを、可聴領域に入れたいがために。
いつもとはどこか違う豊満で濃密なテナーの音。徐々にクレッシェンドしていくそれを聴いて、藤崎 詩織は思った。…ああ、これは彼の音だ、と。
「私の秘密は私の内にあり」
…俺が何を持ってんのか。それはまだわかんない。でも、今度はあのおっさんじゃなくて、俺の夢を託したい。
「朝の光が輝く時に!
そして私の口づけは沈黙を解くだろう」
どうしても守らなきゃいけない約束があるんだ。
俺1人じゃどうしても守れそうにない。だから、力を貸してほしい!
……音は、強く大きく自然に深まっていく。もうフォルテッシモか?そう思うほど大きくなるのに、まだ大きくなる、それでいて粗さの素肌が全然曝されない。
「夜よ、失せよ!
…星よ、没せよ!
夜明けになれば私の勝ちだ!」
高まった感情が音になって、まるでいっぱいになったグラスからこぼれ落ちるようにキラキラと輝いた。その音は、きらめき高校の朝の空気の粒すべてを震わせているみたいだった。
「…私は勝つ! 勝つことになる!」
…その宣言を、多くの人が聞いた。一番近くで聞いていたポニーテールの女子は、胸が熱くなってしまった。
「……すごい」
それが都子の素直な感想だった。確かに彼は本気で吹くと言っていた。でも、こんなにまで情緒に染み入ってくる演奏ができるなんて…いつの間にか大きくなったのだな、と都子は心から感心した。
「は?すごいじゃなくてなんか感想言ってよ」
疲れたー、とばかりに苦笑して肩をすくめる直人。一生懸命吹いたつもりでも、やっぱり第三者の耳にどう聞こえているのかを聞くまでは安心できないのだ。
――その瞬間、どこからかハンドクラップの音がした。
パチパチ。
パチパチパチ。
手を打つ拍手の音の人数はじわりじわりと増え、5人、6人と伝染していく。
次第に、直人の中に何か安心感がこみあげてきた。
…俺の気持ち、この楽器に伝わったのかな、って。
「…ふうー。
お粗末様でした」
そう言ってちょっと満足そうにテナーのオクターブキーをカチカチと押す直人。目の前に立つ都子には、それがどこか「これからよろしく」と語りかけているようにも見えた。
…私からもお願い。
直人の約束、守れるように力を貸してあげて。
都子は胸に手をやって優しい微笑を浮かべると、金に銀に白金の輝きを併せ持つ不思議な楽器を見つめ、密かにそう思った。
「ああ、とりあえずなんか安心。
『誰も寝てはならぬ』吹いたけど、これで
現国の時間、心おきなく寝れるわ」
冗談を言って後ろ頭を掻くテナーサックスの彼。
…と、急にどこからかまた拍手が聞こえてきた。
もう先ほどから続いていた拍手は止んだ。なのに遅れてやってきたこの拍手は?
誰だ?どこからだ?
直人が辺りを見回すと、教室棟の方から拍手をしながら上級生の女子がやってくるのが見えた。
「おはよう、高見君」
微笑を浮かべてやってきたのは、3年生の元生徒会長、皐月 優だった。
多分、つづく
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※余談コーナー ぼくの思い出
高校のころ、ぼくの知り合い(知り合いというほど軽薄な仲ではないのですが、迷惑がかかるといけないのでこういう広い言い方にしておきます)の楽器店が閉店しました。
その際、商品がいくらか余ったそうで、その知り合いがぼくに様々な楽器関係の道具をくれました。小説で出したように、リードカッターやメタルのジャズのマッピなどをもらったのですが、その中でもリードのV16とかRICOのふるーいリードとかは特にお気に入りでした。
完全に賞味期限切れで、課題曲や自由曲を吹くのには到底使えないものでしたが、ジャズやポップスだとなかなか使えるんですよ。ささくれだった音や、かすれて渇いた音を敢えて出すのによく使ってました。まあ今でも10数枚くらい残っているんですが、前ほど基礎をする時間がないので普通のリードしか使わなくなっちゃいました。
なんていうんですかね。ブルース・スプリングティーンじゃないけど、味のある音を出すのに重宝してて、定演とか文化祭の演奏では、曲と曲の間にマウスピースやらリードをチェンジして吹いて、音を使い分けてました。
それがよかったのか悪かったのかは、よくわかりません。
ただ、決まってそういう試みをするとき、ぼくは同級生で同じ楽器の女の子に「これアリだと思う?」って聞いてました。
その子はぼくよりも歴が長くて勘もあるんですが、激しいイップス持ちで、なかなかオーディションに受からず、最後まで一軍に入ることができませんでした。けれど、全然下手くそとかでくくれるような人ではなく、ぼくは何度もアドバイスを求めて話を聞いてました。
特に、この小説でいう全校集会のときみたいにアドリブソロをやったとき、なかなか形が決まらず迷ったんですが、色々その子に聞いてもらううち、ある一言を言われて形を決めたのをよく覚えてます。
「前の吹き方の方がバギクロスくんらしいかな」
今でもぼくらしい吹き方っていったいなんなのかはわかりません。でも、音が大きいとか綺麗とか、そんな当たり前のことを高い水準でやる、っていう正統派の上手さだけが評価されるなんておもしろくないと思ってたので、1人でもぼくのことを認めてくれてる人がいるっていうのはすごく嬉しかったです。
まあ直人君には正統派な上手さを目指してもらいますけどね 笑
彼はぼくよりもはるかに基礎ができているので、ぼくみたいな小細工を使った工夫をすればさらに幅が出るんじゃないかと思います。なので、彼もゆくゆくはこの話で貰った道具を駆使して音色を変えたりする話を出そっかなーと思います。
某知り合い、ありがとう。道具にあんまし頼るのもどうかと思うけれど、ぼくってこんな音が出せるんだっていう発見がたくさんできて楽しかったです。
あなたがぼくを助けて、今度は直人君を助けるわけですw
と、まあくさい話になっちゃいましたが、以前どっかで書いたように、かつてぼくが言えなかったありがとうやごめんなさいをこの小説の中で言えたらなぁとか思ってます。基本的にこの小説は性善説です。
これからも細々やっていくんで、ときメモとはあんま関係ないとこも書いちゃいますが、よろしくお願いします。では~。
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