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zoom RSS きらめき高校吹奏楽部 〜もしきら高に歴代ヒロインがみんな居たら〜 涙が出るのは悲しみだけじゃなくて 

<<   作成日時 : 2019/01/03 08:01   >>

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だいたい見えてきましたかね?

一番近いと思っていた光は、直人君の「すごいよ!」と思えるとこをよく見ていますが、彼が自分で嫌悪している欠点はあまり深く考えておらず、今の直人君には寄り添えない状態です。まさに失恋して未練たらたらな人に「次の恋を見つけようよ!」と声をかけてしまう人と化してる感じですね。そりゃあ直人君も好意的に聞き入れられないわけです。


親友でもあり家族のようでもある都子ちゃんはというと、今度はノータッチを貫いています。あなたのためにならないから、と突き放すようなことを言ったり、オーディション以前から起こしに行ったりはしていたものの、前のように弁当を作ったり励ましたりといったような甲斐甲斐しさは、見せなくなりました。


しかし詩織ちゃんはこの期に及んで彼の本心を問いただし、居なくなった彼を追いかけ、自分のせいで大変なことになったと泣きながら謝り、前より近い距離になっているのでは?とさえ思えるほど直人君にアプローチをかけています。

光が彼から離れ、都子もお世話を焼かなくなり、彼も部活を辞めて…これは、光が引っ越したくらいの時期の3人の関係性に似ているのでは?と思います。

光が引っ越した当時は詩織も、直人君とはまだ普通に遊んだりしていたわけですが、その内贈り物を拒否されたり詩織が部活に入ったりしたことで、距離感はいつものきら高の状態に近くなっていったのだと推測されます。それが今、かつてと似た状況に戻ったことで詩織もまた、以前と同じように彼と接する機会を増やせたのかもしれません。


再来の2555、っつうのはその辺も示してます。2555って365×7なんすよ。ちなみにエンジェルナンバーっていう概念でいえば、2555は物理的なものに対するしがらみを捨てて理性で今後を良くしていくよう心がければ未来は明るく幸せになっていきますよ、っていう数字でもあります。部活を抜けてサックスを返し、未来をどうするか考えはじめた直人君にはピッタリ…ですが、裏を返せば、考え方ひとつで何かをきっかけに未来をよくしていく心がけはできるのだけれど、今の何もかもが嫌になってる彼にはそんな幸せの可能性なんてものは、在ったとしても決して見えないという、皮肉も込めてあります。


さて話を戻しますが、なぜ吹部に入ると2人は余計に話をしなくなっていったのか、です。薄々これまでも書いてましたが、今回はその辺とかを書いてみようと思います。この辺の話が、直人君が自分を嫌いな根幹にあたり、それが“あの出来事”や全校集会などともかみ合うようになるかと思うので、前回の響野さんのセリフなんかも念頭に置きながら、今後を見ていただければなーとか思ってます!あーなんか眠たくなってきた、二度寝しようかな…w


以下本文
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[どうしてですか]
[恐いんです。
 大切な人の期待を裏切ることが]


どういえばいいのか、わからなかった。

メールを送ってくる「月の雫」の管理人に対して、何を言えばいいのか。


間違いなく画面の向こうの相手は、自分と同じような悩みを抱えているとわかる。自分の思っていることが画面に表れているのではないかと思うくらいに、ぎくりとする文字ばかりがかえってくるのだから。


ただ。だからこそ、何といえばいいのか、わからなかった。

自分はきっと、画面の向こうの相手に、生きてほしいと思っている。顔も知らない、会ったことさえない、だがこれまでに交わした音楽に関する会話や、打ち明け合った悩みは、決してデジタルコンテンツなどではない、現実にまで影響を及ぼしてきた。


顔も人となりも、詳しくはどんな人かはわからない。性別さえ知らない。年齢も。だが、尊敬できる相手であることは、間違いないと思う。自分なんかとは違う、間違いなく価値のある人なんだから、生きてほしいと思う。


だが、それは自分のエゴではないだろうか。
友達も仲間も誰も居ない自分に残された最後のよりどころだから、失うのが怖いと思っているだけなんじゃないか、結局は月夜見さんをいいように利用して自分が得をしたいんじゃないか、などとも思えてしまう。


自分自身、生きる苦痛は、毎日味わっている。
そして月夜見という人も、同じような苦痛を感じているに違いない。


[罪悪感で胸が締め付けられるんです。

 そのせいか今の音楽仲間にもきつく当たってしまって、
 ますます自分を貶める一方で、本当に身勝手な
 自分に嫌気がさすばかり]


その苦痛と向き合うことは、絶対正義か。
そうじゃないんじゃないかとも思う。それは、逃げなのかもしれないが。


――なら、やらなくてもいいのよ。


――自分で決めなきゃ。


でも、きっと月夜見さんは、逃げたいと思っても逃げ出さないんだと、直人には思えた。これだけ自分と似ている人だから、恐らくこう考えているのだ。逃げることは罪悪感をより重く強くする一方で、苦しんでいる現状よりも逃げた先の方が辛い気持ちに苛まれることになる、と。


…だったら無に頼る。
死ねば何も考えずに済む。自分なんて居ない、罪も罰も何もない、幸福も不幸もない、閉幕。もうそれ以外に自分を救ってくれるものなんて無い。…そう考えて死んだ人が、どれぐらい居たんだろう。


街の人ごみを歩くと、みんながみんな、何食わぬ顔をして、行き場を常に持っているかのように真っすぐ迷わずに歩いている。どうして俺はこうなれないんだろう。なんで俺はこんなに苦しいんだろう。俺だけじゃないはずなのに。そう思っていた。


でも実際、画面の向こうの相手は、心から苦しんでいる。抜け出せないしがらみにがんじがらめにされて、もう解放されたいと願っている。



何かわからない。急に悲しくなった。



街の張り紙なんていつも見てこなかった。でもよく見ると、目を背けていた現実がでかでかと書かれていた。



「成人男性の半数以上が痔を患う可能性があります」
「癌細胞は誰にでもあり、
 いつもは白血球が完全に抹殺しているからこそ
 がんの発病は防がれているのです」
「メンタルヘルスの不調が原因で1割超が
 休職、その半数が復職できないまま――」


八重 花桜梨がそうだったように、みんな言わないだけで、みんながみんな苦しいのだろうか。中には順調に順調に、積み重ねて完成していった人も居るのかもしれない。でもそういう人さえ、自分たちのような人が寄りかかるせいで、要らない労力を払い、苦悩させられているのかもしれない。


そんなのは自分の独りよがりで、自分ほど愚かで、罪を重ねた人も居ない。それが現実なのか?いや、そんなことはないのかもしれない。


――賛歌も、他の曲も。もう、書かない。
ごめんなさい。


――ごめんな、いっつもお前ひとりに…。


――だから、私は楽器を吹く資格なんてない。
誰も信じることができない。


――美幸が居たら変なこと起きるかもしれないからやめとくー。


――じゃあいったい、どうして私たちはサーカスなんてしてるのかなって…。


――こんなの、引っ越した時みたいで、嫌だよ……。


――…あたし、もう二度とあんたを起こしにこない。
その意味をよく考えて。




……ああ。
みんな、辛いけど…頑張ってるんだな。


ポケットから取り出したうさぎさんを左手に持って、握りしめて、言葉にできないほどの悲しみとやりきれなさにため息を深く深くついた。


――違うよ。みんながひとりなんだよ。


……俺は、最初からわかっていたんだ。
見えないフリをしていただけ。逃げたかった、知らんぷりしていたかった。でも、今さら……何もできることなんてない…。



何も食べず、考え事をずっと続けた。
メールに何を綴るか。どう答えたらいいか。その内、日付も変わって、深夜になって。メールどころの時間ではなくなった。


…頑張れ、生きて。そんなこと言える立場じゃない。
それは、月夜見さんだってわかってるはず…。…言ってほしいのか。切り出してほしいのか、俺に。…一緒に死のう、って。




何も切り出せなかった。こんな時に無反応で待たされることがどんなに辛いか、わかっているのに何も言えない自分が歯痒くて、申し訳なくて、とても寝られそうにない。


重苦しい空気を換えようと、窓際に立ってロックを外し、窓を開けようとした。だが、手が止まる。


…まだ起きてる。


隣の家の幼馴染が、まだ起きている。優等生で、夜更かしなんてとてもしそうにない学園のマドンナの部屋が、まだ電気も消さずに長期戦に臨んでいる。


…勉強か、定演の準備か。
いつもそうだ。そうやって頑張って、順調に人に褒められて。ああいうところが…嫌なんだ。…なんて、そう思ってた。前までは。




かつて小さい頃、自分はよく親からあの子と比べられた。

病院に行くのが怖いから泣けば、「あれ?詩織ちゃんは泣いてないよ」と比較されてたしなめられた。食事で好き嫌いをすると「詩織ちゃんはちゃんと食べるのに」なんていわれたし、勉強も運動も進級するにつれて段々と自分のうすのろさ加減を露呈していくと、「詩織ちゃんはゲームしないで勉強するのに」なんて嫌味を言われたりするようになった。


はっきり言って、嫌だった。
あの時…入学式に夢見た日、自分が詩織の贈り物を受け取らなかったのも、周りにはやしたてられた気恥ずかしさだけでは説明のつかない感情があったことを、今でもよく覚えている。


…うまく言葉にはできない。
でも、なんていうか…スネてたっていうか。詩織に優しくされるのが、なんか上から目線でナメられてるかのように思えて…いや、思えてたっていうより、思いたい自分が居たんだと思う。あいつを悪者に思うことで、小さい頃なりに自分を正当化したかったのかもしれない。あいつが居るから俺は比べられる、責められるって。


あいつとのそういう関係が、後々俺に、人を傷つけて自分を正当化するサガを固めていったんだと思う。でも、俺は…本当はわかってたんだ。見たくないことから目を背けていただけで。



「――吹奏楽部、入っていい?」
「――えっ!詩織ちゃんの影響?
 でもなんにせよ家でゲームばっかりして
 遊び廻ってるより全然いいわ!

 頑張りなさいよ!」


…母さんのその言い方が、ますます俺の目を曇らせていった。吹部に入るっていうあの決断は、ただの諦めみたいなもの、スネて関心を引きたくて「やればいいんでしょ」「それをやれば俺は褒められるんでしょ」っていう思いで入った風な、そういう感じになってた。都子も、そういう俺を心配して、追いかけてきてくれたんだと思う…。まあ、俺や詩織が入ったから、寂しいし自分もっていうのは、あったのかもしれないけど…。



…でも。俺は、本当は…そういう気持ちで入ったんじゃなかった。
俺が親にどう言われてるか知ってても、それでもいつも優しくしてくれた、あいつと…ちゃんと向き合いたいって思ったから、吹部に入ったんだ…。


なのに溝は深くなっていった。

俺は当然、楽譜すら読めなかったし才能なんかないから、小学じゃ全然ちゃんと吹けなかった。でも、あいつは上手かった。いつも通り、昔から変わらない、ちゃんと努力して、勉強して、上手になっていった。その差に、また親とかに言われてたような「詩織ちゃんはちゃんとやってるよ?ちゃんとしなきゃ」的な出来の違いを思い知らされた気がして、ますますあいつと、ちゃんと話せなくなった。


…中学になってからは、もっと。俺の気持ちはぐちゃぐちゃになった。

先輩に怒られたりしながらもちゃんとやってるあいつに比べて、俺なんて居なくていいどころか居る方が迷惑まである程度の実力しかなくて。あいつの事を羨んだし、恨んだし、たまに話すとあてつけるようなこと言ってやりたくなって、もっと惨めな思いをするばっかりだった。あいつもそのせいで、あんまり話しかけてこなくなった。


でも本当は、ずっと感じてた。
あいつが頑張ってるから…都子も愚痴りながらも辞めずに頑張ってるから、俺だけ辞めて楽になるなんて、絶対ダメだって。勇気づけられてるのは、わかってた。


「……」

目線の先、カーテンの隙間から見える、今の幼馴染の姿。
机に着いて、頭を抱えるように額を抑えて、何かを考えている。作業をしている風ではない。


…あいつだって。
あいつだって、ずっと一生懸命やってたんだ。わかってる。いっつも詩織ばっかり褒められて…なんて、んなことないんだって、本当はどっかでわかってた。その証拠に…あの出来事を、一緒に経験することになった。あいつが歩くところ全部明るい道になってくなんて、そんなことない。躓いたり、悲しい思いをしながらでも、みんなの憧れ、学園のマドンナをやりきってるんだ。…なのに俺は、いつもあいつとちゃんと話せなかった。


…多分…なんとかしてかっこいいところを見せたかったんだ。

でも頑張ったって、俺は何もできない。…詩織ちゃんはちゃんとできてるよ?あれ?直人はできないの?なんて、今も親は思ってるんだろうな。だから、きら高に受かった時、あんなに喜んでたんだと思うし。


…だから余計に、あいつにはふてくされて憎まれ口ばっかり叩いてた。

でもきら高に来てからは、みんなで頑張らなきゃいけなかった。できない人追い出すほど人数がいない、だからできない人でも頑張ってやってもらう他ない場面多かったし、急を要する場面じゃない時こそ逆に、できない人がゆっくり成長できるチャンスみたいに捉えてよかったから、俺も口を尖らせなくてよかった。


…人を傷つけない俺は、あそこにいてよかった。
だから、詩織や都子にも…ひどく当たる必要がなかった。無理にかっこつけなくたって、居場所があったから。



でも…よくよく考えれば、それはただ、言いたいことを言わないようにしてる、見られちゃ困るところを隠してるだけの、都合の良い関係だったんだ。…本当の俺は、昔と何も変わってない。みんなと一緒にいる価値なんて…ない。


「…!」


はっとした。視線の先でうなだれていたあの子が、こちらに気付いたらしい。顔を上げて立ち上がり、向こうも窓際へやってこようとしているのが、向こうのカーテンの隙間からわずか見える。


慌てて直人は、カーテンを閉めた。
合わせる顔なんて、窓越しでも無いのだから。


――気にしちゃ、だめだよ。


そう言ってくれたあの子の顔が、7年経った今でも思い出せる。でもまだ、自分は気にしてばかりだ。


「……ごめん」


それしか口にできない。
何ひとつちゃんとできない、自分には。

























…いつからか。
よく覚えていないけど…小さい頃の思い出の中であなたは、私にとって、かけがえのない人だった。



昔から家がお隣同士。お互いの家で都子や光なんかも含めてみんなでご飯を一緒に食べたりもしたし、遊ぶのも、幼稚園のバスの送り迎えも、小学校への登校も、遊ぶ時も宿題をする時も、いつもいつも一緒に居て、話をして、ケンカをしたり笑い合ったりしてきた。



…だから、よく覚えてる。
あなたは…時々意地悪だったり、変に頑固だったりして。でも、優しくて、人の痛みに敏感な人だった。…ううん、それは今も、そう。




公園で遊ぶ時は女の子が不利にならない遊びを提案してくれたり、男の子たちに泣かされた時に守ってくれたり、嫌いな食べ物をこっそり食べてくれたり。そのせいで自分が活躍できなくても、自分が暴力を振るわれて泣いても、自分の分が食べきれなくなって怒られても。彼は、全然こりなかった。


――あれ?詩織ちゃんはそんなことで泣いてないよ?
――詩織ちゃんと比べてウチの子は…。


…やめてあげて、直人君のお母さん、直人君は頑張ってる、ちゃんといいとこがあるのに、どうして誉めてあげないの。


「――…仕方ないよ。
 俺、詩織みたいに勉強できないし。

 いい子じゃないし」
「そんなことない!」
「…そんなの詩織にわかんないよ」


…でも、あなたはいつも頑張ってた。
わからない宿題だって泣きながらでも終わらせてた。マラソン大会でもこけたのに、ちゃんとゴールまで走り切ってて、私、本当にすごいと思った。


「――すごいよ、
 ほんとによくがんばったよ、直人君…」
「…自慢?
 自分の方がはやかったからそう言うんでしょ」
「違う!私、本当にすごいって…」



…私が傍に居たら、直人君は傷ついてしまうのかな。


そう、思うようになった…。私は…いい子でいたくて、褒められたくて、頑張ってたんじゃない。都子ちゃんやみんなにも支えられたけど、私…あなたがいつも、たとえ貧乏くじを引いても頑張っている姿を見ていたから、私も頑張らなきゃって、いつも思ってた…。


「――わーい!ドーナッツだ!
 あ、でも3こしかない…」
「…いいよ。おれ、お腹痛いから。
 甘いのそんな好きじゃないし」
「えー、でも…」
「直人くん、あたしがはんぶんこしてあげる」
「ううん、いい。
 いらない」
「あら、ごめんね直人くん。
 今度代わりにケーキ買ってきてあげるから」
「甘いの好きじゃないから。いいよ」


…どうしていつもそうやって遠慮するの?
どうして、自分が酷い目に遭っても仕方ないって顔をするの?


……どうして、自分をもっと大事にしてあげないの…?


あなたには、あなたの良さがある。
なのにあなたは、自分を嫌っているみたいで。それが、いつも悲しかった…。


「――ほら。別に何も持ってなんかいないよ」


…そんなことない、そんなことないのに…!


私はちゃんと知ってる。どんなに先輩から怒られても、お父さんお母さんに叱られても、地方大会に行けなくても、自分が大嫌いなんだとしても…あなたの良いところは、なくなったりしてない、って…。



「――直人くん、
 校区外にひとりでいっちゃいけないんだよ、
 華澄お姉ちゃん居なかったら迷子になるとこ
 だったんだよ!」
「…もー、わかってるよ…」
「どうしてひとりで街に行ってたの。 
 あぶないよ、言ってくれたら
 私も行ったのに」
「そしたら詩織もおこられるじゃん。

 それに、おれ、これ買いにいってたから」
「えっ…これ、ゆびわ…?」
「ほしそうにしてたじゃん。
 おまつりの時。

 ごめんね。あの時、光だけにあげて。
 きづかなくて、ごめん」 


…直人君が謝ることなんてない。
でも、嬉しかった。私のことちゃんと見てくれてたんだって、それで、私のために怒られたり迷子になったりするかもしれないのに、街まで指輪を買いに行ってくれてたことも…。


…だからあの日、あなたにお返しがしたくて、プレゼントを用意して。お父さんお母さんには怒られたっけ。直人君が欲しそうにしてたテレビ番組のヒーローの玩具を、欲しいって私が無理を言ったから。


「ま、まあ。詩織、いつも勉強とか
 ちゃんと頑張ってるからな。

 いつもいい子だから、特別に買ってあげよう」


お父さんがそう言ってくれて、買ってくれて、これで直人君も喜んでくれるって思った。指輪のお返しだけじゃない、他にもいっぱい優しくしてくれたし、いつも頑張ってるあなたにもご褒美になったらって、子ども心に思ってた。


…でも、あの日あなたにあげようとしたプレゼントは、まだ私の部屋の中。


あの日から…あなたとの距離は変わってないのに、昔みたいに話をしたり、何気なく遊んだりすることは、なくなった。


それでも、昔と変わらず近くに居るあなたのことを、しっかり見てた。中学校の時も、きらめき高校に入ってからも、あなたは頑張っていたし、優しかったし、部活が辛くても…きっと変わっていないって、信じてた。


「――…ほんとのこと?

 お前が聞きたいのは慣れ合いの言葉だろ。
 都合の良い言葉だろ。
 勝手に期待して俺に押し付けてるイメージだろ!

 
 …そんな俺は、どこにも居ない。
 頭ん中お花畑のお前らの頭ん中以外には――!」


…本当に、そうなの…?
私が信じていたことは、身勝手な期待に過ぎなくて、あなたにはそれが重たくて苦痛で、私なんて…近くに居ない方がいいの…?


それとも…あなたはやっぱり変わってなんかいなくて、私を傷つけたり、期待を裏切ったりするのが怖くて、わざと遠ざけるような態度を取っているの…?


「…直人君。

 お願い、本当のことを、教えて…」



ふと、顔を上げて彼の部屋の方を見た。


「…!」


はっとした。カーテンが開いてる…窓際に誰か立ってこっちを見てる、彼だ…!


…でも、私が立ち上がって自分の部屋のカーテンを開く頃には、向こうの部屋のカーテンは、閉まったあと。揺れ残したカーテンが、自分の横様に振った首の動きと重なって、もう手遅れなのかなって…思えて、胸が痛い。


…直人君……。



あなたの置いていった退部届は、私が持ってる。でも、本当は…もう、先生に出してしまった方が、あなたを苦しめずに済むのかなって…思いはじめてる。定演までもう20日ちょっとしかないし、あなたに無理を言う事は、今以上にあなたを苦しめてしまうかもしれないから…。


…無理なのかもしれない。私たちが素直な気持ちで話をすることなんて、もうできないのかもしれない、それでも…!ちゃんと、あなたの本音を、私…聞かなくちゃ、きっと後悔すると思うから…。


だから、もう一度だけ。

…ちゃんと、あなたと向き合いたい。

明日…どうか、勇気をください…。






今でも捨てていない指輪を、机の鍵が付いた引き出しから久々に取り出して、握りしめて祈り、誓った。これをくれた頃の彼を裏切るようなマネは、絶対にしないと。



多分、つづく

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