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zoom RSS きらめき高校吹奏楽部 〜もしきら高に歴代ヒロインがみんな居たら〜 せめぎあいのduo/曲名「自我」

<<   作成日時 : 2019/01/04 01:27   >>

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アンビバレンス的視点の欠如、っすね

書きたいものが少しずつ形になってきてて、これ後で読み返すのが楽しみやなーとか思ってます、バギクロスです。案外こういう詩織ちゃんとの関係だった主人公君て、二次創作でも少ないんじゃないですかね?主人公君に辛辣な詩織ちゃんか、あるいは優等生だけどそれ故に守りに徹しすぎて恋に臆病な詩織ちゃんはよく見るんですけどね。


今までもそうですが、詩織ちゃんからは直人君にはあまり話しかけてこず、かと思えばたまに話した時直人君は詩織ちゃんに割とひどい言葉遣いをしたりずばっと物を言ったりして、都子や光と比べると距離を感じる書き方をしてきました。


そこに決着や筋をつけるにはどうしたらいいか、考えました。

前々から直人君がたまに「つい、ひどくみんなに当たってしまう」と悩んでましたが、これを解決したいと考えた時、ただみんなを傷つけないように、言い方を考えて優しく接して、っていうのは何か違うと思いました。大人になるということ=言いたいことがあっても我慢する、ではないと思いますから。いやそりゃなんでもかんでも口にするのも違いますけどね。


でも言わなきゃいけないことは自分の言い方で言わなきゃいけないし、誰も傷つけないなんていうのはありえないと思うんですよ、どんなコンテンツやサービスでも文句を言われる時代だからこそ、ポリシーやはっきりした指針、一本通った筋が無いと、自分の居場所は守れないはずですから。


詩織ちゃんに対しても、「誰にも悪口を言わなくなった今の俺なら詩織とも自信もって話せる、あの時はごめん、これからは昔みたいに一緒に居よう」なんてやるのも、白々しいというか、説得力に欠けると思えてなりません。


今回はその説得力を持つための、ビー・ザ・ワンです。
もうこれ着いてこれる人が居るのかも怪しい内容ですが、どうぞお召し上がりくださいww


以下本文
----------------------------------------------------------

「行ってきます」


…なんで?学校へ行っても、もう俺には何もできない…。もう俺の居場所なんて無い。居るだけでも息苦しい場所に自分から行くなんて、何の意味がある…?


…都子が期待してるから?
…行ったってなんの期待にも応えられない、俺には何の価値もない…。


でも学校に行かなきゃ怒られる、“普通”の人と比べられて、何でこんなに出来が悪いんだ、迷惑をかけるんだって思われる…。


…逃げたい、このままどこかに消えてしまいたい。
でも、それは許されない。月夜見さん、ごめん…。俺は、言ってあげられそうもない。俺は知ってるんだ、逃げた方が辛い気持ちになること、自分を余計に許せなくなること、自分が傷つけた人のことを考えると申し訳なくてたまらなくなること…。




朝練に出ていた頃よりも3〜40分遅く家を出て、歩き出す。振り返っても、都子は光みたいに待っていてはくれない。


――もう二度と、あなたを起こしに来たりしない。


…見捨てられたのか。
それともまだ俺を信じてるのか…。


向き直って、ため息をつく。
下を向いて歩き、隣家を通り過ぎようとした時、視線の端に脚が見えた。白い綺麗な脚、昨日夜、自分が見ていたあの子が、立っている。


「…直人君。

 ……おはよう」
「……」


見ないふりをした。聞こえないふりをした。もう自分はこの人とは無関係の人間だ。これ以上巻き込んで、傷つけてはいけない。歩調を変えずに歩き、通り過ぎようとする。


「…待って!

 ねえ、どうして。
 どうして何も言ってくれないの。
 どうして…電話に出てくれないの。


 あなたは何も悪くない…!
 メグに怒ったり、紐緒さんの発明を使ったりしたのは、
 あなたなりの考えが、思いがあったからでしょう…?」
 

追いかけてきて、何か言っている。
でももう聞かない方がいい。もう「ごめん」以外、口走らない方がいい。そう思うのに、幼馴染だった人は、諦めてくれなかった。


「…あなたの…あなたの、
 置いていった退部届…!


 私が持ってるの…!
 先生にはまだ出してない、
 あなたはまだ、吹奏楽部の一員なのよ!」
「……」
「直人君!」


肩が掴まれた。それでも行こうとして、でも自分の進む力が弱くて、進めなくて。やむなく止まった。でも、あの子の顔は、怖くて見ることができなかった。


「……」
「ねえ…答えて。
 私の方を見て!」
「……」
「…今更遅いって思われるかもしれない、
 でも、私…あなたの本当の気持ちを
 知りたい。


 今から学校を休んだっていい、
 いくら時間がかかってもいい、
 だから、お願い、こっちを見て、
 声を聞かせて……お願いよ…」
「……」
 
 
……昔と変わらない。俺に優しくしてくれる。

――そうやって偽善者ぶって。お前が泣く度、俺は悪者になる。
 


ふたつの気持ちがないまぜになって、整合性が取れない…それはいつものことだった。いつもこの子の目を見ずに話していたのは、遠ざけて傷つけていたのは、その気持ちが混ざり合う感覚に、苦悩していたから。そして、結局、いつも同じ答えが出る。


「…そんなことして、何の得になるの」


嫌味、皮肉、悪口。それが藤崎 詩織を傷つける。目の前でいつもあの子の顔が悲しそうに歪むと、「これでいいんだ」と自分を納得させていた。親に褒められるいい子、みんなに認められて求められる優等生、そんな奴と比べられる自分は、一緒に居たらお互いに傷つくばかりだから。


「…得…?
 …違う、私…」
「もう、嫌なんだよ……。

 疲れた、吹部は……」
「…吹奏楽とか、そんなことじゃない、
 私はあなたのことが心配なの!」
「…吹部じゃない俺に価値なんてない。
 それは詩織だって、知ってんだろ…。


 …俺は頭もよくない。
 運動もだめ、部活だって詩織とかに比べたら…」
「そんなこと――!」
「…頑張ったってダメだった。

 俺は……何をしても、何の役にも立たなかった」


こんなこと言いたくはない。本当はいいところを見せたかったはずの、この子に。でも、もうこんな奴、いっそ目の前から消えてくれた方が楽になる。そういう気持ちもやっぱりどこかにスネたみたいにあって、もうどっちに振る舞えばいいのかわからなくて、だから、いっそ苦しい思いをするなら、崖から手を放してしまいたい気持ちになって、こんなことばかりいつも言ってしまう。


これが最後になるのだろうか。そういう思いで、直人は続けた。


「…これ以上見せかけの希望にすがるのも、
 もう…逆に迷惑でしかないのはわかってる…。


 だから…もう俺は、自分勝手な夢は見な――」
「――迷惑なんてそんなことない…!


 私、直人君に…感謝してるの」


制服の二の腕を、細い指が引き寄せようと引っ張ってくる。こんなところを藤崎家の人や、自分の家の両親に見られたら、また責められる。彼女を責めて、いい歳してグレた高見家の長男が泣かせたと。


「…無理して俺を良い奴扱いしないで、
 わかってる癖に。俺は――」
「――ええ、わかってる…!

 …小さい頃、夕食の時に
 私が食べられなかったとろろいも、
 あなたが無理して食べてくれたから。
 だから、私も自分で食べなきゃって思って、
 克服できた」
「違う、あれは――」
「鬼ごっこの時も、私を逃がしてくれた。
 
 自分だって食べたかったはずなのに、
 都子ちゃんのおばさまが買ってきた
 ドーナッツ、我慢してくれた。

 
 …私のために、街までひとりで、
 おもちゃの指輪…買いにいってくれた」
「…そんなの全部小さい頃のことだし、
 もう……そんなこと、忘れた。


 今の俺は、あの頃とはもう違う、
 俺は……。俺は…」
「…いいの。
 変わったかもしれない、忘れたかもしれない。
 

 でも私、直人君に優しくしてもらえて…。
 嬉しかった。感謝してた。


 だから、あの日…。
 あなたに感謝の気持ちを伝えたかった」


ごめん。その言葉が喉元までせりあがる。
しかしその前に、視界の端で憂いに満ちた顔を向けてくる少女が、言葉を紡ぐ。



「…あなたは、頑張ってた。
 そのことに胸を張って、誇りをもってほしいって――」
「頑張ったって…!

 …頑張ったって、報われなきゃ…
 認めてもらえなきゃ、意味…ねーじゃん……」



……本当は。あの頃と同じように、みんなと一緒に居たい。


――でも、俺にはその資格が、力が…無い。


また、相反する気持ちがまぜこぜになるのを感じて、顔を引きつらせ、掴まれた腕を引っ張って、よそを向いた。



……。俺は、いつもそうだったんだ。




……嫌だ、死んでほしくなんかい!生きてほしい!

――お前が居なけりゃ行けてたよ!



言いたいことがあって。
欲しいものがあって、願う未来があって。



……みんなと過ごす「明日」が欲しい。俺にできることがあれば…。

――俺が部活辞めて済むなら。…それでいいじゃん、もう…。



でもそれを、口にできなかった。いつも、俺は自分の気持ちに正直に向き合えなかった。




――そうだったんだ。
私に向けられていた言葉は…あなた自身にも、向けられていたんだ。



…そうだ。本当に…八重さんの言う通りだ…。
俺は、本当は…欲しかった。思い描く夢があった。でも、分不相応な俺には迎えられない未来だって、わかってた。だから、言えなかった…。




――後悔、しないの?


――だって、先輩が居ない間も、寂しい思いはさせてませんから。


――いつだって、ベストを尽くせるかどうかは、常に自分との勝負じゃん。でもそれを忘れたら、何かのせいにしたり、目標を見失ったりする。


――そりゃ、魔法なんて目に見えやしない。けど、音楽だってそうだ。その点じゃ音楽だって魔法みたいなもんかもしれない。


――…どうせなら。消えない過去より、自分の音に向き合う方が楽しいでしょ。



……ずっと俺は、誰かを励ましてる風を装ってた。
本当は、折れそうな自分の気持ちを支えたい、自分の本心の葛藤があったのを、押し隠してた。



――やっと、誰も傷つけなくたって、居場所が手に入ったんだ。俺は出来ることをしてただけかもしれない。でも、そのことをみんなが凄いって言ってくれる。みんなが俺の頑張りを信じてくれる。だから、俺も…少しだけ、自分を信じたい。


……あいつを傷つけた、詩織に比べて出来の悪い、何をやってもだめな俺じゃ、みんなの期待を背負うのにふさわしくない。頑張ったって、“あの出来事”みたいに…報われることはない。居るだけで誰かを傷つける、迷惑なだけなんだ、もう諦めた方が……。


「…認めてる、認めてるわ…!
 

 あなたとの仲がぎくしゃくして、
 話す機会も減っていったけど…。
 
 私は、あなたが頑張ってるところを、
 学校で、部活で、見てた。


 部活が暗い雰囲気になっても、
 先輩にひどく怒られても、仲間とケンカしても…
 それでも辞めずに頑張ってるあなたや、
 みんなに…とても勇気付けられたわ。


 あなたは俺の音なんて、って言うかもしれない。
 でも…あなたの音そのものだけじゃない、
 音を作るまでの気持ち、意識、そういうところは、
 昔と変わってないって、すごく…嬉しかった」
「音を作る気持ち…?
 なんだよそんなの、意味がわからない…」
「聞く人のことを考えて、音の綺麗さだけじゃなく、
 どう聞こえるかもすごく工夫していたじゃない。

 
 寒くても渡り廊下で練習するのは、
 室内だと音が籠ってしまうし、遠くに飛ばす意識が
 失われてしまうからでしょう?」
「……」


ずっと同じ学校で一緒にやってきた仲間でもあるこの人は、やっぱり人の言うことをよく覚えていた。かつて外来の講師の先生が合奏を教えてくれた際、講師が言っていたのだ。――近隣への迷惑も考えなきゃいけないけど、校舎の中で練習すると音が籠るから、できれば外とか、体育館とか。そういう広いところで遠くへ飛ばす意識をつけなきゃいけませんよ、ですよねえ先生?などと。


そういえばそれ以来なのだろうか。
先輩に怒られるのが嫌で、渡り廊下に逃げていたというのも、あったのは確かだが。過去を思い出して直人は、返す言葉を見失う。思い出したくもない思い出も多い時期に、意識がいったせいか。



「合宿の時に勝負をしたよね。
 あの時も…もっと小さい音で吹けば
 もう少し長く吹けたのに、あなたはそれをしなかった。

 
 あれが、あなたの考えるピアニッシモだから、よね。
 あれ以上小さければ、舞台から客席まで届かない
 音量になってしまうから」
「…だとしても、俺の負けには変わりないって」
「負けたとしても。
 地方大会に行けなかったとしても。
  

 …あなたはあなたなりに頑張ってた。
 そのことに…自信をもっていいのに。
 


 どうして…?
 どうして、もっと自分を大事にしてあげないの…?」


藤崎 詩織がまた自分に言ってくれている。


――気にしちゃ、だめだよ。


一瞬、幼馴染の方を見ようとして、でもやっぱり目を合わせられなくて視線を伏せた彼の中で、思い出の中の幼馴染も、こっちを一心に見ていたのが思い出されて、胸がざわついた。


詩織は、もしかしたら薄々わかっていたのかもしれない。
高見 直人が心に抱える2つの声が、自身の中でぶつかり合っていることを。



――気にしちゃ、だめだよ。


…俺は、みんなに幸せになってほしい。


――違うよね。


……負けんなって。言ってくれてたのか…?


近所の公園の風景を、足元に落とした視界に重ねて、感じた。また、2つの声が混ざり合って、悲鳴に変わっていくのを。


…“本当の俺”なんて、そんなの…言い訳だったんだ。
どっちも、俺だったんだ。全部合わせて、俺だったんだ…。


……みんなと一緒に居たい。


――俺はみんなと居る価値なんてない…。



どっちも…俺の心の叫びだったんだ…。
気にしちゃ、だめ…。もしも俺が、あの時…気にせずにいられたなら。もっと俺は、ごめんも言わずに済んだかもしれない。取り返しのつかない後悔も、しなくて済んだのかもしれない……。



「俺は……。


 …。もう、遅いかな…」
「えっ…?」
「本当は。本当は……」


…気にしちゃ、だめ。

もう遅い、気にしなきゃいけない…そう思うけど、俺は…どっちも俺の本音なんだとしたら、それは、偽物の俺なんかじゃないから。騙しているわけじゃないから。だから、口にするだけなら、願うだけなら。本当は、いいのかもしれない。


…かなうわけない、願う資格もない、もう手遅れ。
それは、わかってはいるけど…。



「…望んじゃいけないって、わかってる…。


 でも…俺は。
 きら高のみんなが好きで…そんなみんなと
 居られることが、嬉しかったし、罪悪感もあった」
「罪悪感なんて、どうして」
「…中学のみんなは高校で部活をしてない奴も多い。
 責任感じてそうしてる奴も、多いんだと思う。

 
 俺が辞めさせた後輩や、
 あいつ…和泉にも、ずっと申し訳なかった。
 俺が楽しい思いをしてることを、
 きっと恨んでる人も居るって、そう思えて…。


 …でも。本当は、そんなのありえないって
 わかってても。


 皐月先輩みたいに、自分の出来ることをやって、
 “あの出来事で”否定された俺たちの価値を
 示せたら、って。


 そうしたら、また…あいつも、和泉とも、
 笑える日が来るんじゃないかって、俺は、俺は……」

 
やっぱり情けなかった。言ってる途中で泣いてしまった。
視界が歪んで、昔を思い出した。小学3年の時、持久走大会の途中でこけて膝をすりむいた時も、こんな風に下を向いて、ぼやけた視界で、終わらない苦痛と戦っているような気持ちになったものだ、と。

 
「でも…もう!
 もう手遅れだ、こんなに自分勝手な理由で
 人を傷つけて、謝っても許してもらえない!


 もう…俺はたくさんなんだ…!
 これ以上余計に人を傷つけたくない、
 辛い思いしたくなんてない!


 もうほっといてくれ…!」


…やっぱりだ。口にするだけ情けなくて、傷つくだけだ。
もうかなわないっていう現実に、苦しむだけだ。



泣き顔を見られないように、走り出した。向こうも「待って!」と追いかけてくる。普通に走ったら追いつかれてしまうだろうなと思っていたが、案外、日ごろ走って鍛えているわけでもないのに、詩織に追いつかれる気配はなかった。それどころか、途中でばてたのか、詩織は走るのをやめてしまった。


お陰で振り切れたが、もしかすると、自分のかばんがスカスカの中身だから、その差があったのかもしれないとか、妙に冷静なことを考えて、やっぱり最低な奴だなと、自己嫌悪で気分が悪くなった。


……気にしちゃ、だめだよ。


……自分で決めなきゃ。


――やる気がないなら辞めれば?


――あれー?詩織ちゃんは泣いてないよ?


幼馴染や、先生や、先輩や、親に貰った言葉が、自分の中でぐちゃぐちゃに再生されている。自分を支えたり、貶したり、やる気を奪ったり、道を示したり。何が本当なのか、何を信じたらいいのか、わからない。


…俺に出来る事なんてない、頑張ったって意味なんてない…。


…そうなのかな……。
もう俺に出来ること…本当に無いのかな…いや、無ぇよな……。


どうせクラスに行けば嫌でも詩織と顔を合わせるのに。

逃げて、自分はどうするつもりなんだろう。やっぱり、自分が嫌になって、ため息しか出なかった。



多分、つづく





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