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zoom RSS きらめき高校吹奏楽部 〜もしきら高に歴代ヒロインがみんな居たら〜    重い扉  

<<   作成日時 : 2019/01/22 00:57   >>

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言い訳的言い訳:すみませんかーなーり腰が痛い!小出しにさせてください

うわあああああ…これはまた整体いかんとアカン奴かもしれんめっちゃ痛いというか違和感…w腰っつか背中が痛いんすよね、膵臓やらが弱ってる人も背中に痛みが来るからそれも疑えっていわれたけど、マジでそれなのか?やだなぁもう。


最近、完結カウントダウンあとがきを書いています。
まあ体調がこんななので完結までにお披露目できるかはわかりませんので、もし間に合わなければ書き足して本チャンのあとがきとしてお出ししようと思ってますが、前に書いた話をひっさびさに見るとなかなか感慨深いですね。

連載開始する前に妄想していたことが、一応文字のみのコンテンツではありますが、形になったのだなと思うとまさに願ったりかなったり、それにこの小説を書くための取材をすることで、取り戻した縁や久々に会えた懐かしい人とのつながりもすごくうれしくて、ほんとの本懐は最後の最後にあとがきにのっけようかと思ってるんですけど、前に本文に書いた通り、きら高吹奏楽部は、人とわかりあえるかもしれないっていう希望そのものだなぁ、と自分で勝手に思ってますw


ぼくは以前、かつての仲間に言えなかった「ごめん」や「ありがとう」を昇華させることが、この小説を書いてく上での目標のひとつだと書きました。その内の前者は嫌というほど、直人君の口から言えたと思います。できれば今度は後者もかなえたいと思うのですが、果たしてうまいことその流れにもってけるでしょうかw



以下本文
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何て酷なことをしていたんだろう。

久々に愛機へと息を吹き込む度、強くそう思わされた。先輩に対して強いていた無理と無茶、先輩が感じていた無力感と自責の念、背後に迫っているタイムリミットと不安感。そのすべてが重くのしかかり、自分の音を余計にくすませ、灰色にしている気がした。いや、そうしたのは自分のせい。自業自得に他ならないのに。言い訳がしたいだけなのかもしれない。


…9月頃の先輩は、こんな気持ちに一人で耐えてたのか…。


数日離れた渡り廊下で、途方に暮れた。
音もそうだが、口の筋肉も息の線も腹の筋肉も、何もかもが衰えた気がして、いやそもそも自分はもとよりこの程度の音しかなかったのではないかとも思えて、やっぱり今からでも引き返した方がいいのではないかとさえ思えて、目に見えぬ誰かの嫌な声が、また聞こえてきた気がした。


――お前さぁ、居ない方が助かるんだよね、ぶっちゃけて。


でも、今気持ちが折れたら、もう這い上がれないのはわかっているから。だから、見ないフリ、聞こえないフリをし続けた。


相変わらず、ポニーテールの幼馴染は、何も言ってこない。最低最悪の本性を見せ続ける高見 直人なんて要らない、だからあなたに用は無い、そういうことなのか。いや、そんなことはない、はず…なら、彼女は何を望んでいるのだろう。それとも本当に徹底的に嫌われてしまった、見限られてしまったのか。


……今は気にすんな…。
俺に適当な練習してる時間なんて、もう無いんだから…。



中学の時、先生が言っていたものだ。

――先輩たちより出来の悪いあなたたちが、先輩たちと同じようにやって、上にいけるんですか。


あの時言われていた「先輩」とは明らかに違う人種のような気がする。だが、その言葉に皐月をあてはめるなら、頭脳明晰の彼女が毎日よく考えしっかり集中した練習を一か月間しても、カーペンターズの曲に純正クラシカルな音を持ち込めなかったことを考えると、直人もまた、彼女以上の創意工夫と機転を利かせながら、相当の努力をしなければならないであろうことは、想像に難くない。


そしてその努力は、人を蔑み貶めることではない。そんなことをしても、自分の音はよくなることはないのだから。



…俺がやるべきこと……。
いったいどこまでを望んでいいのか、何を具体的にすればいいのか、よくわからないけど…。



外は暗くなってきている。もう居残り練習も終了が告げられるだろう。
そう思った矢先、


「直人君」


声をかけられ、最低音のロングトーンをしていたのをやめる。すぐ横まで来て声をかけてきたのは、ヘアバンドの似合う幼馴染。


「練習。終わりの時間よ」
「あ、うん…」


直人は目も見ずに答えて、マウスピースのキャップを左ポケットから取り出し、填めようとする。顔色もどこか気まずそうで、きらめき高校の男子の内、この子に話しかけられてこんな顔をするのは、まず彼しかいない。


「直人君…。


 …。おかえりなさい」
「…。

 まだ。堂々とは返せないかな、それ…」


視線どころか顔も背けて、キャップを填めながら言う彼に、詩織の表情が暗がりで曇る。彼が今どういう心境なのかは、詩織にはわからない。だが、小さい頃とは比べ物にならないくらい多くの事を「気にしてる」のは間違いなくて、悲しかった。


「…ちゃんと…。
 ちゃんと、やらかしたことの責任は取る。

 
 …ただ苦しい思いをすればいいって
 わけじゃないだろうし、みんなの納得いく答えが
 出せるかはわからないけど…」
「…あまり思い詰めないでね。
 
 あなたが頑張ってることは、
 みんなわかってるから…」
「…でも。

 できれば、結果…。
 出したいから……」


渡り廊下の柵壁に手をやっていたのを離し、詩織の横を通って理科棟へと入っていこうとするサックス吹き。その彼を振り返って、詩織は以前の約束事を、蘇えらせようとした。


「直人君。

 また、ソロ聞かせてね。
 約束よ」
「……。

 聞いてくれるなら、俺も…。
 急いで仕上げなきゃ」


それを期待しておいて案外というのも変だが、明るい答えが返ってきたせいで、詩織は少しだけ安心の笑みをこぼす。それは、背中を向けた彼には見えていないが。


もっとも、彼が既に前進を試みていることは、詩織にもわかっていた。練習する彼の音が、それを教えてくれていたのだから。


…彼は、低音を中心にしていた吹き込んでた。
ブランクのためというのもあるけど、息をしっかり吐いて音のコアをあまさず聞かせようとしている、そういう練習だった。音は太く厚めでも、動きをしっかり伝えるエッジーな演奏を、「宝島」かはわからないけど、何かでやろうとしてたんだ…そう思った。


「うん。
 
 どういう演奏にしたいか、
 そういう計画があるのね」
「……。それができるかは、わかんないけど…」


音楽は伝わらなければ意味がない。全校集会の頃、御田 万里に言われたように、その言葉はある場面においては真理であり、ある場面においては人を悩ませる悪意にもなる。


伝わりうるものだという希望でもあり、頑張っても無駄になるかもしれないという恐怖でもあるということだ。それでも前者を追いかけたいからこそ、直人には、「絶対にやり遂げる」というような強い言葉は、出せそうもなかった。


…でも。
片桐さんにも、響野さんにも……月夜見さんにも…。もう一度「明日」を感じさせる演奏をしようと思ったら、これかなって…そう思うのが俺の中にあるから。


もし…それができれば。
それを培わせてくれた、あの中学でやってきたことが、意味を持つってことだから。先輩の言う通りに、俺も…今の地続きに、昨日まで見てた夢を、置いていいのかもしれないって…。


「…。
 頑張りましょう。
 
 …中学校の時に“あんなこと”があって…
 神様がいるのかどうか、今はわからないけど…。


 直人君なら。
 どういう結果になっても、最後まで頑張れるって、
 信じてる」


最後まで。実は2人の中で認識している「最後」には、ずれがあるのだけれど。


けれど直人は、皮肉は捨てて、最大限好意的に受け取ることにした。いつかの格好悪いマラソン大会や、悪夢のような部活を一応夏のあの日までは走り抜けたことを、彼女は言っているのだろうから。


「…また。

 バルトークみたいなこと言う」
「えっ?」
「いや。
 
 まあ、ありがと」


かつてバルトーク・ベーラ・ヴィクトル・ヤーノシュが、何を言い残したのか。詩織には残念ながらその知識は無かったが、家に帰ってから調べて、なるほど納得することになる。


いずれにせよ、彼は自分がバッハと同等だなどと思っているはずもなく、そんな喩えがポロッと出てくるあたりに、同級生たちから「頭吹部」だと言われる所以があるわけで、やはり彼の音楽好きは、根底の部分にしみ込んだ、演技や見せかけの体裁ではないということが短い言葉から感じられて、透明度の高い微笑を、学園のマドンナから引き出すのであった。


願わくば、彼の挙げた作曲家のように、不遇に悩む悲壮の後期を過ごすことのないよう。彼だけでなく、この部の1年の集大成が良いものになればと、思うばかりの詩織だった。

















…また渡せなかった。


学校を出て、相棒の入ったソフトケースを肩に担ぎ直しながら歩いて、直人は思った。ポケットから出した、片眼のうさぎさんのぬいぐるみに申し訳なさそうな目を向けて。


時間が無い。衰えた音を元に戻すどころか前より良くすることも、曲を仕上げることも、確かに大事だ。しかし美樹原たちに口走ったようなそれ以上のことを望むのならば、「明日やろう」と思うことを今日の内にできるなら、貪欲に消化していかなくては間に合わない。それこそ、先輩以上の努力を目指して、だ。


…努力だけじゃない。
俺は見せなきゃいけない。夢があるなら、それにふさわしい誠意を出せるかどうかを。



その誠意を見せにきた相手が、ここに居る。
きらめき市総合医療センターを前にして、直人はため息混じりに、背中の相棒を気にした。


…これを持って行くのは、良くないかな…。


人を病院送りにしておいて、自分だけのうのうと部活を楽しんでいる。そういう風に橘に映ったらいけない。そう思い、魔法の指輪に頼ろうとして、ポケットをまさぐって。


…いや。
俺が望んでるのは…そんな一時のごまかしじゃない。橘さんともまた、部活がしたいから…ここに来たんじゃないか…。


言うべきことは自分の口から言わなきゃいけない。
そう思い、ポケットの中で掴んでいた《コネクト》リングを出すことはしなかった。


意を決して病院に入る。
ところどころ消灯された病院の廊下を歩くと、病院の壁が妙に白く見えて、みんなこの壁の白い色に何を思い浮かべるのだろうと、メランコリックな気持ちになった。


正直なところ、なぜ橘があの仮面をつけていたのか、そしてどのように自分が橘ともあろう人をあんな風にねじ伏せたのか、まったくもってわかっていない。


山で遭遇した時と、あの河川敷の仮面の男は、まるで戦い方が違った。故になんとなくだが直人は、二度相まみえた仮面の男は、一度目と二度目で違う人間だったのではないかと、勘ぐっている。


橘同様に、顔を見られては困る人間。
それが自分や、きらめき高校の人間を襲っていたのだとすると、橘もまた、かつての自分と同じように、後戻りできない罪を背負ったと覚悟しているのかもしれない。


…でも…なんとか戻ってほしいと思ってる。
俺も苦しい、でも…定演を開くっていう大変な行事をみんなでやり遂げられたら、何か先輩の言うような、他人と一緒にいる自分をまた許せるかもしれないって思うから…。


橘の事情はまだわからない。
だが、どうしても自分には、利己的な理由がそこにあるとは思えなくて、あのワル男が目指しているという「指輪とドライバーを手にしてきらめき市を支配したい」というような思いとは別の何かが原動力になっていると、信じたかった。


…その理由って、なんだろう。
何かドライバーの力でやりたいことがある?それとも…誰か大切な人でも強請られてるのか、あるいは、自分が脅されているか…。



遂に病室の前に来た。
今日は重い扉ばかり目にするなと思う。


…ごめん、ごめん、ごめん、ごめん……。
そんなことばっかり思う…何を言えばいいんだ、何を言いたいんだ俺は…。


気が付けばぎゅっと左ポケットを握っている自分に、焦燥感が募る。なに人に頼ろうとしてるんだ、ごめんって思うならごめんって言えばいいだろ。唇を噛むと、久々のマウスピースの痕線が舌に当たって、妙な現実感に襲われる。


…希望になれっていうのは、そういうことか…。


もう一度だけ肺に空気を入れ込み、重い視線を持ち上げ、手をかけたドアを押す。

病室の4つのベッドの内、カーテンで囲われたベッドが2つ、他は空き。既にどちらのカーテンの奥に同級生が居るのかは知っているから、直人は、重い足を何とか前へ進めると、そこまで行って声をかけた。


「あの。


 橘さん…」
「…その声…高見さん、ですか…?」
「…うん。


 俺、その…」
「――どうぞ。
 開けて、お入りください」


まるで2人の間には何もなかったかのように、いつも通りの落ち着いたゆったりした声色が案内してくれるから、直人は狼狽してしまう。


「あの…高見さん?」
「……ああ、うん…」

促されて、カーテンをようやっと開ける。

目に入ってきたのは、頭に包帯を巻いてベッドに横たわる、同級生の姿。


「…!

 ……あの、あの…俺…」


心拍数がアレグロへ、ヴィヴァーチェへ、上り詰めていく。
目に見えない作曲家が動かす楽譜に記されたポーコピウモッソを、直人には止められそうもない。


…俺がやった、俺がやった、俺が、しでかした……。


とにかく気持ちを整理して、目を閉じ、痛々しい同級生の姿を視界から隠して、何とか言った。


「ごめん………!


 本当に、ごめん……!」


膝に手をやると、肩のソフトケースがずれて背中から肩へずしりと重心が移動した。それでもこんな痛みに比べたら、彼女の痛みはもっともっと辛く、苦しかったろうと、自責の念が言う。


しかし橘の返した言葉は、意外なものだった。


「高見さんは、謝る必要などありませんよ。

 科学部の、紐緒さんから聞きました。
 あなたがあの武器を手にした時点で、
 意識は消えていたのだと」
「……。

 で、でも、俺は…」
「あの時、何が起こったのか…。

 あなたは覚えてもいないはず。
 そうではありませんか?」


だからこそ、申し訳なくてたまらないし、ものすごく恐ろしいのだ。

いったい自分は何をしたのだろうか。
頭を何度も何度も殴りつけたのか、いつものようにローキックを平然とあのケガした足に押し当てたのか。橘ほどの武道の心得を持つ人を相手にしたのだ、相当のことを仕掛けたに違いない、そう思うと、どこどこまでも謝り倒さなければ許されないことを、自分がしてしまっている気がしてならない。


「でも…でも…!
 俺は……。

 きっと、謝って済まされる話じゃないって、
 もう、こんなの……わかるだろ……」
「…。
 あなたの誠意は、身に染みて伝わっていますよ。
 高見さん。


 だから、私も…謝らなければなりません」
「な、なんで。
 謝らなきゃいけないのは俺の方…」
「――あそこに私が居合わせたこと。

 あのような人の味方をして、
 高見さんに拳をふるったこと…。

 
 そして、不幸にもこんな風に…
 お互いの身を滅ぼしてしまったこと。
 本当に…残念でなりません。


 後悔でいっぱいです」 
  

初めて、橘 恵美が本気で悲しそうな顔をしているのを見た。

以前病室で見た時にも、ここまでの悲観は見せなかった。いつもニコニコとしていたあの白百合のように品のある整った顔は、唇を噛みしめて眉をひそめ、くしゃっと、泣き出しそうになってしまっている。


「……。
 こんなこと言って許されるわけないって
 わかってるけど……。


 …正直なところ、俺の記憶は……。
 あの武器を手にしてからすぐ、あやふやで…。


 なんだか混濁した意識の中、
 水の中に沈むみたいな感覚が続いて、
 溺れてしまったみたいな感じがしたのは
 なんとなく覚えてるけど…。


 …気が付いたら、あんな風に…!
 みんながそこら辺で痛そうにしてて、
 橘さんが、あのコート着てて…!

 それで、それで俺は…!」
「――高見さん、それは…」
「――橘さんは…!

 …橘さんは、あの…仮面の……。
 
 仮面をつけてきら高の人を
 襲ってた奴、なの……?」


違うよね、そうじゃないよね。
そう言ってくれ。


そんな目線が持ち上げられて、病室のベッドの主へと向けられる。やりきれないような申し訳なさに染め上げられた白百合は、今度はしぼんだアサガオになって、目線を自らの握った拳に捨てて、声をこぼした。


「……はい」
「…!

 嘘だ」
「…嘘なんかじゃありません」
「嘘だって!

 …俺が山であの仮面の奴と戦った時は、
 全然違う戦い方をしてた」
「…そ、それは」
「橘さんがあの仮面をつけたのは…
 あの一回だけ、そうじゃない?違う!?

 
 基本の構えや立ち方まで毎回違うのは
 絶対おかしい、武道やってる人なのに!」


武道なんて志したこともない。しかしそれを心得た人たちと剣を交えた経験はある。彼らは皆、練習に練習を重ねたのであろう基本の構えを、追い込まれても打ち込まれても、崩さないのだ。


そしてそういう人たちを相手にした時、皆一様に、直人に感じさせてくるのだ。…やり辛いとか、強ぇとか、俺はやっぱり素人だなーとか…。


「…本当のこと教えてほしい。

 どうして橘さんは、あのワル男って奴と
 一緒にいたの。

 目的は俺の指輪なの?
 何かやらなきゃいけないことがあるなら、
 全然力貸すよ、だから…」
「……。

 高見さん……。


 本当に、申し訳ありません……」
「えっ…?」
「あの子を……。

 芹華を、助けてください…お願いします…」 


こんなボロボロの姿になって、涙を流しながら懇願するのは、自分ではなく、友の救い。


そのことが悲しくて、直人には、別の感情が沸き始めていた。
ごめん以外の、別の言葉と共に。



多分、つづく


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