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zoom RSS きらめき高校吹奏楽部 〜もしきら高に歴代ヒロインがみんな居たら〜 素朴実在論には戻れないとしても

<<   作成日時 : 2019/03/07 20:25   >>

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Frip a coin,if heads,this attack does 20 more damege.

はいこんばんは。
また飽きたとかじゃないですよwwちょっと仕事と用事が忙しいんですよ、色々と。まあ余暇が無いわけじゃないんですが、ポケモンカード オンラインとEWIにぶっこんでいるのでこっちのことは何もできてませーん(爆


さて、少しずつ風呂敷を畳みはじめていますが、仮面ライダー ウィザードを見たことがある人なら、ちょっとわかるかもしれない描写を出してますwもともと魔法使いうんぬんかんぬんは、そこまでこの小説に影響しない予定だったんですが、もはや自他共に魔法使いとか言ってますからね、ちゃんと噛ませていきますよー。


最近、加藤 純一さんが詩織を落とせなかった配信を見直したんですが、割と初代ときめきのキャラってみんな、嫌ってる主人公君から電話貰うと「用がないなら切るわよ」ってすげー言うんですよねww


なのでぼくも今回使いました。
なんかあの配信、この小説でも書いてる子たちが「んだよクソ女ァ!」って罵倒されまくってて、なんか懐かしい気持ちになりました。っていうのも、吹部だった頃、部ではいい仲間の女子たちが、クラスとかでは男子に「あいつ根に持ちそうだよな!」「あいつめっちゃメールしつこい!」とか色々悪口言われたりしてて、なんか複雑な気分になった学生時代の思い出がよみがえっちゃってww


やっぱ有野課長はすごかったんやなぁ、シリーズ経験済のむにまんちゃんでもクリアできないっていうのに…w

純、次は3もすべーよ!
どりゃああああああああああああああああ


以下本文
-------------------------------------------

「高見さん」


放課後、部活前の音楽準備室。
いつもよりはやや遅くやってきた高見 直人が楽器を出していると、B組の占い師がやってきて、丁寧なお辞儀と挨拶をしてきた。


「具合の方は…もう大丈夫ですか?」
「…ごめん、ほんと」
「そんな、謝らなくていいんですよ。
 高見さんはいつも部活の最前線にいるからこそ、
 悩んで当然なんですから」
「……。ありがとう。
 本当に、ごめん」


ひたすら今は反省の意を示し、挽回の言動で返していかなくてはいけない。でもそれは、都子に言われたからそうしているのだろうか。自分でふと思うこともある。


…そうしたら都子が認めてくれるから。
都子に顔向けする方法がこれしかないから……。


…いや、そうじゃないって。
俺は、自分で音楽室の扉を開けたんだから。辛くても、苦しくても、俺の言葉で言わなくちゃ、何も伝わらない。伝わるものなんて最初から無いのかもしれなくても、それでも…自分の意思で決めたことなら、報われなくても後悔は少ないはず…なんすよね、先輩…。


「いいんです、そんな、謝らなくっても。
 みんなでいい定期演奏会にしましょう。
 
 それで、高見さんに前から
 お願いしていた件なんですけど――」
「…それって、あの……」
「はい。魔法使いさんの劇のことです」


そう柔和に笑って白雪が渡してきた台本には、あの「超戦士ドラゴン ウィザード」の寸劇の内容が書かれていた。プロットは案外ちゃんとしていて、怪物ファントムが狙う「ゲート」とされる人間が演奏会場に居ると、演奏中に怪物が乗り込んでくる、そしてそれをドラゴン ウィザードが倒すというもの。


シンプルだが、こういうお約束の展開がまともになっていなければ、メインターゲットの子どもさえ騙せない。なんだかんだ原作をよく知る直人も、これには非の打ち所がなかった。アルバイトで携わったヒーローショーも、こんなシナリオだったのだから。


ただ、白雪は「自信がないところもある」という。


「この、怪物さんのセリフは当たり障りがない感じに
 なったと思うんです。


 ただ、魔法使いさんのセリフが少し、
 自信がなくて…」
「…。原作っぽい感じになってるかどうか、ってこと?」
「は、はい。なので、出来ればなんですが…。

 高見さんにアドリブで変えていただけないかと思って」
「俺が?でも、いいの…?
 せっかく白雪さんが書いたシナリオなのに」
「それは、本番までに相談して調整出来たらいいとは
 思います、でも…。

 きっと、私より高見さんの方が、
 魔法使いさんのセリフ回しを、うまく書ける…
 そんな気がするんです。妖精さんも、そう言っていますし」


と、少しとぼけたように白雪が首をかしげると、胸元のポッケに納まるペンについたキーホルダー、ケロケロでべそちゃんが無表情のままカラン、と揺れた。


「確かにバイトでも文化祭でも
 ウィザードはやったけど…。


 大丈夫かな…あの、あらかじめ謝っとくけど、
 ほんと、話にもなんないレベルだったら、ごめん」
「きっとそんなことはありませんよ。
 タロットでも魔法使いさんを引く、高見さんなんですから」


そう言われて、褒められているはずなのに、さっと顔を背けて返事を躊躇う直人。

彼の中では、以前感じたような恐怖が、浮かび上がりつつあるのだ。


…みんなが期待してる俺だ、まさに。
魔法使い…都合の良い存在で、本当の俺とは真逆の存在で。


……でも。みんなが思う魔法使いの俺が、万能全能なんて、そんなことない。本当の俺も、魔法使いの俺も、どっちも努力が必要な人間だってことは、間違いないと思うから。


「まあ、その…。
 やってみるよ、だから…。

 
 ダメ出し、お願い」
「はい。本番までに素晴らしいお芝居にしましょう。
 
 それと、怪人さんの役なんですが――」
  

白雪が出した、怪人役を務める人物の名前。
その人物と気まずい顔を合わせることになったのは、それから1時間後のことだった。





















彼はあれから、何度も試した。
無敵の身体が失われて、元のよわっちぃ身体に戻っていやしないかを。


腹パン、肩パン、仲間というか腰巾着みたいな奴らに頼み、「どんどんやれ」と自分の身体に殴打をさせて、けれど痛覚なんかクソほども感じなくて。


…と、とりあえず無敵は終わっちゃぁいねぇ…。
しかしなんだったんだ、あ、あの武器…。


数日が経った今、きらめき高校の魔法使いと対峙した時のことを思い出すと、怖くもあるし、ゾクゾクする感じもある。久々に感じた痛覚は、今振り返ると、まるでデカいニキビでも潰せたみたいに下卑た快楽じみた、じんわりとした妙な気持ち良さだったと、笑みを浮かべてワル男は思う。


それよりもあのドス黒い禍々しいギザギザの武器はなんだったのか。突然きらめき高校の魔法使いがポケットから取り出したこぶし大の装置が変形して出来上がったあれは、明らかに“あの女”の発明と見て間違いない。


…む、無敵を貫通できるのはヤバい。
あいつから指輪を奪うためにも、た、対策しなきゃぁいけねぇな……。



まずは。あの場では無様に逃げておきながらも、抜け目なく仲間に一部始終は観測させておいたから、あの武器を使うきらめき高校の魔法使いのことを、ワル男はきっちり情報収集しておいた。


「あの後っすか?
 いやもう、マジハンパ無かったっすわ!

 なんかいきなり動かなくなったと思ったら、
 そっから暴れ出して!見境なくそこら辺の奴
 ボコしてくんすよ!」
「み、見境なく?
 仮面の奴だけじゃなく、かぁ?」
「女にもふつーに容赦ねーんすよ!
 《ハザード》なんとかーっつって 
 電気出してっしで!意識飛んでんじゃないすかね、あれ」
「…ほぉー、意識が、ねぇ」

ほくそ笑み、下品に口許を緩ませて頷くワル男に、仲間たちは「また始まった」と、これまた悪い笑みを浮かべていく。またこれは面白いことになりそうだ、と。


「んで、途中から総番が来て、
 シメて終わったっすわ。

 いやー、ありゃーマジキレてるっつーか…。
 殺人マシーンみたいなのってああいうのを
 言うっつー感じの動きやったっすね」
「ぐぇへへ…まあ、安心しろや砂川。
 あ、あの武器を使えねぇシチュエーションを
 こ、こっちで用意してやりゃあ、何の心配も無ぇのよ…」


いやらしく舌なめずりをするワル男には、もう既に対策のプランがひとつふたつ、浮かび上がっているようだった。

きらめき高校の魔法使いから指輪を奪い、きらめき市はおろか、それ以上のものを手中に収める算段が、イメージの世界を駆け巡る。


…意識を失うか、げぇへへ…。
な、ならよ、意識を失っちゃ困る場面でや、やり合えばいいだけの話だよなぁ…。






















「おい」
「……」
「あのなぁ…」
「……」
「練習、しねぇのかよ」


体育館と武道場の間の、日の当たらない狭い場所。
「きらめき高校一の情報屋」を自負する男に声をかけられて無視を続けるのは、超戦士ドラゴン ウィザード。…の、着ぐるみというかアクションスーツを着た、男子。


「仕方ないだろ?
 お前が嫌でも、白雪さんが言うんだよ。
 
 早乙女さんなら、彼と息の合ったお芝居が
 出来るはずですーって」
「……」
「…そうかよ、そんなに嫌かよ。

 だったら――」
「――お前は。

 お前は、嫌じゃないの…?」


きびすを返してどこかへ行こうとした好雄が向き直ると、特撮番組の主役の姿をした臨席の友人は、俯き、仮面越しにでもわかるほど、申し訳なさそうにしていた。皮肉にも白雪が言うように、彼はドラゴン ウィザードの演技をするのに適しているともいえるだろう。


「…俺は、もう……。
 みんなにどう思われてるか、
 わかってる…。

 お前が一番よく知ってるだろ、
 俺の噂なんて」
「……。

 まあ、そりゃあな。
 なんたって、きらめき高校一の情報屋の
 早乙女 好雄様だからな」
「…。みんなとも、お前とも。
 もう、前と同じようには向き合えない事は、
 わかってる…。


 だから、俺と友達なんて思われて迷惑なら、
 全然もう…――」
「――見くびるなよ、この俺を」


口調が少し違う。責めているのかと思い、ドラゴンが顔をふと上げると、自称きらめき高校一の情報屋は、こちらを自信満々に指さしていた。


「噂の中に真実アリ。
 プロの情報屋たるもの、嘘とホントを見抜けなきゃあ
 いけねぇからな。 

 …聞いてるぜ。
 紐緒さんの発明のことやら、いろいろな」
「……」
「でも、あの、なんだ。あれだ。
 色々あるかもしれんが、前向きに、
 ポジティブに!建設的にいこうや、な?

 
 しかめっ面して暗い顔してても、
 女の子たちだって近付き辛かろうし、
 それに――」
「…なんで。

 
 俺は、お前に…ひどいこと言ったのに。
 もう俺が詩織や光のことでお前に教えてあげられることも
 残ってないのに。


 なのに…」


そんなこと、本当は聞かなくてもわかっていたのかもしれない。

でも、自分を好きになる努力をしたいと先輩に語った、ぼやけた自我で立っている魔法使いにとっては、足がかりが欲しくて仕方がなかった、不安だった。結局そうして好雄を利用している自分が、嫌になるばかりなのに。



「別にいいじゃねぇか、そんなこと。
 
 お前に何があったかは知らん、男の情報なんざ
 知ろうとも思わんからな。 


 でも、なんだ…その。
 きらめき高校で1年、お前の横の席で
 バカやって、女の子たち追いかけまわして。
 
 
 いちいち言いたかねぇが…まあ、それなりに。
 楽しかったからな」
「…。俺は、追いかけまわしたつもりはないけど」
「どの口が言うか!人間磁石!」
「いや、そりゃ…向こうからいっつも来るから――」
「だーーっ、くそっ、羨ましい奴だなこんちくしょう!


 …まあ、いいじゃねぇか。
 お互い、楽しけりゃそれで。


 お前も、このきらめき高校に悔い、残したくないんだろ」
「……。


 やっぱ、知ってたんだ」


ほむらの口が重いはずもないし、好雄の情報網が甘いはずもない。

4月以降の直人の処遇を暗に示した好雄に、魔法使いは仮面についたボイスチェンジャーで濁った吐息の音を漏らし、改めて、謝った。


「……。ごめん。

 ありがとう、いっつも」
「ああもう、そういうのを止せって
 言ってんだ、ったく……」
「ああ。もう言わないから。

 ちゃんとメモ帳にでもメモっとけよ」
「だから見くびるなっつの。

 
 …そんなことしなくても、忘れねぇよ」

 
友人に戻った人の声が震えたから、仮面の魔法使いも何やらうろたえて、触れられない自分の顔をどうにか拭おうとするかのようなじれったい動きを見せる。だが、武道場から剣道部の寄声が聞こえてきて、沈黙はすぐ台無しになって、ついおかしくて、笑ってしまった。ここに居る2人ともが。

 
「俺らもあれ、やろうか」
「きぇーーっ!メーン!ってか?」
「それそれ。

 俺はいつも通りでやーっていくけど」
「なんだその不平等条約は!」
「日米修好通商条約だよ、早乙女君」
「キャー、伊集院君すてき!」
「あーもう、キリねぇから。
 やろやろ、練習」
「だな。はは」


不思議だった。

本当の俺だから、魔法使いだから、そんなこと関係なく、きっとどの自分でも、今の冗談には冗談を返していたんだじゃないかと思う。それは、早乙女 好雄との関係が、傷つけあわなくても互いの価値を保持できるものだからに、違いなかった。





















その日の部活終了後、居残り練習組が音楽室周りの戸締りをしていた時、


「直人くーーん!」


珍しい声が上がった。この名前が大きな声で呼ばれること自体、この部活では最近無かったことだが、呼んだ人も珍しい顔だ。なぜなら部外者が下の階からわざわざやってきて、そう言うのだから。


「できたよー!
 ハザードインサイザー!」
「…あ、あの。
 ちょい、恥ずかしいからその名前、
 大声で言うの…」
「えーっ、直人くんも「紐緒インサイザー」派なの?
 むうーっ!」


直人が申し訳なさそうに言ったのに対し、本気で「あなたとは波長が合わない」みたいな怒り方をする河合。慌てて直人はそれをとりなして理科棟を出て渡り廊下の方まで行くと、部のみんなには見えないようにして、紐緒作、河合編の黒い発明を受け取った。


改造されたという、黒の内蔵鎌。
確かに前と明らかに形状が異なっているのが、直人にもわかった。


…これ、レバーっていうか、トリガーか?
てか、形が完全に…。


魔法使いにはなじみのある、「掌」のマーク。それと似てはいるが、改良されたこの装置はまるで、パーからグーへと閉じかけた手にも見える。まるでスマホを横にして動画を見ている人の手みたいに、親指以外を第二関節まで曲げた手の形だ。そのせいか、握られたハザードインサイザー本体が、悪魔に握られた冥界の門のように、おぞましい口をぱっくりと開けようとしているかのようにも見える。


そして手の親指部分は、動くようだった。
直人の親指でそれを弾くと、親指が立って、隠れていたボタンが露になった。


「この…ボタンは?」
「それを押すと、こっちの観測装置、
 あとPCとかスマホとかとリンクするようになるんだぁ。
 

 …だから後は、こっちから強制接続解除ができるように 
 システム構築をしないといけないんだけど…」
「……」
「…それをすると、使用者の脳に
 負担がかかるのは名白だから…。
 別の方法が無いか、練ってるところ。


 …だから、待っててっ。

 わたしがちゃんと……
 直人くんもかっかも笑えるように、
 ハザードインサイザー、完成させるから!

 だから……」


両の拳を握り、頑張るんだと意気込んだ河合の目は真剣だった。だが、その成果はまだ芳しくないようだ。拳がすっと降りて、眼鏡越しの視線も伏せられる。


「……。ありがとう。
 
 そうだよね…これ使うってことは、 
 紐緒さんにも心配かけるってことだよな…」
「…かっか、自分をすごく責めてるみたい。

 紐緒アーマー適用者も、ハザードインサイザーも、
 もとはといえば自分が作ったものだからって…」
「…さっき話した時、それはすごく感じた。
 全然、目…合わせてくれなかったし。

 紐緒さんが世界征服とかそういうことを口にしてたのは…。
 
 もしかしたら、その、昔の発明でワル男みたいな奴を
 作ってしまったことに責任を感じてたからなのかな。

 
 …特異体質の人にも対抗できる発明ができれば、
 ああいう奴が増長することもできなくなる。
 抑止力的な…。


 けど周りには、ヤバい発明をする理由を釈明しなきゃ
 いけない、それで世界征服っていうことで
 通してたのかな…」
 

再び半端なグーの形に戻した掌型のハザードインサイザーを、ポケットにしまいながら言う直人。河合の瞳の中で、ばつの悪い顔を理科室に向ける彼には、どこまでわかっているのだろうか。彼が後遺症もなくドライバーを動かせると知った時、紐緒がどれだけ希望を感じたのかを。そして今、その希望を自ら曇らせたことを、どれだけ悔やみ、自戒しているのかを。


「…きっと、そうだよ。
  
 だからそのハザードインサイザーが完成したら…。
 かっかは、前を向いてくれるって…わたし、そう信じてる」
「…。俺もちゃんと使いこなせるように、
 何とか……」
「…根性論で何とかなるツールじゃないよ…」
「それでも…。
 
 …もう俺だけの問題じゃないから……」


他人に迷惑をかけたくない、他人を傷つけたくない。
そのためになら自分を犠牲にしてもいい。


高見 直人の本質はそこにある。自分のことは嫌いなのに、よく知りもしない他人のことは好きだという。それは、他人がいなければ自分が充足できないから。他人がほめてくれて、笑ってくれて、ようやく自分の居場所があるのだと安心することができる、自分の価値を自分で認められない人間だから。


けれど、楽器同様にハザードインサイザーは、直人に席を用意したツールでもある。


高見 直人にしか使えない、紐緒や神条の問題を解決するために必要な力を彼に与える、体のいい正義のヒーローになるためのアイテム。それはまるで、誰かを傷つけて居場所を守ってきた、中学時代と似たような構図でもある。


それが今の直人には、自覚がある。
だからこそ辛かった。


自分の悪意は、いつ誰の心に刃を突き立てていたか、わかったものではない。和泉や、都子や、後輩を傷つけていた、かつての言葉の刃。それはどこまで彼女らの心に深い傷を残したか、直人には見ることができない。だから怖いし、申し訳ない気持ちがぶり返すと、一睡もできないほどの後悔に胸を焼き焦がすことさえある。


いったい、ハザードインサイザーを使った時、自分は橘や赤井や総番長に、何をしたのだろう。どこまでの暴力で、どんな酷い悪行で、赤井の足をあんな風にしたのだろう。橘の顔に、傷をつけたのだろう。


罪だらけで、ここに立っていることさえ、本当は許されない身だと、心の巡礼者が見えない神へと許しを請うべく手を合わせて拝んでいる。でもそんな祈りさえ、誰にどれだけ届くのか、わかったものではない。


謝っても謝っても反省しても猛省しても、許してくれたかどうかなんてわからない。「もういいよ」と言われても、それでも申し訳ない気持ちがスカッと晴れるはずなどない。だから都子がああ言ってくれたのだと思う。取返しなさいと。


…結局、誰かと一緒に居るっていうことは。
誰かを傷つけて、傷つけられて、その繰り返しに過ぎないのか…。



ハザードインサイザーをもう一度使うことが、楽器をもう一度手にすることが、自分に存在意義を与えるのなら。やっぱり自分に価値なんて無いのかもしれない。自分に、自分を好きになれる要素なんて、無いのかもしれない。


……でも。俺はもう一度ここに来たいと、自分で思ったんだ。


それは、自分でもわかっていた通り、この場所が希望だから。
人と人との関わり合いが、決して傷つけ合うだけのものではないと、この場所が証明してくれたのだから。



やがて、河合が去っていき、音楽室周りに最後の施錠をするべく人が集まってくる。それを渡り廊下から見やって、また中庭に目を移すと、直人はスマホを取り出して、電話をかけた。


……言い辛いし、合わせる顔もない。
だけど…。


[……もしもし]
「…。もしもし。

 ……。あの…」
[…何?用がないなら切るわよ…]
「あの…!

 ……ごめん、本当に…」


自分で言って、自分で首を横に振った。
違う、言いたいのはこんなことじゃない。電話口の向こうのため息に心臓が嫌な鼓動を立てて、視界が狭まる。そのせいか、彼を見て憂いに顔を強張らせる、元野球部のマネージャーの姿は、彼にはまったく見えていない。


「俺、その……。

 俺が、本当にオーディションでやりたかったのは、
 っていうか、やらなきゃいけなかったのは……」
[なんなのよ…!
 今更、もう、手遅…ゴホッ、ケホッ…]
「…ごめん……。

 ……とにかく、片桐さんに、聞いてほしい。
 俺の演奏。今度は、ちゃんとするから。


 …だから、待ってる。  
 本当に、ごめん……お大事に。それじゃあ」


直人が電話を切り、浮かない顔を理科棟へ向けた時、佐倉も同時に目が合わないようにさっと顔を背ける。それを見て、ようやく直人は「見られてたのかな」と気付くに至ったが、自分がどう思われているかを考えると、話しかける気にはなれなかった。


渡り廊下から理科棟へ戻り、扉を閉めて、楽器ケースを背負い直す。女の子たちの声が雑踏を作りだすこの廊下、直人が扉からきびすを返して何の気なしに向き直ると、視線の先に元陸上部の幼馴染が居た。


ふと目が合う。
だが光は無言で振り返ると、階段を駆け下りていってしまった。一瞬伏せられた視線と、陽光ひとつ見えない曇り空の表情は、忘れられそうもなかった。


……忘れる云々じゃない。
今も覚えてる。昔からあんな顔する時あったし……。



本当にこのまま定演まで頑張って、何かやり果せることができるのか。たちこめる不安や罪悪感が、まずい顔をよりまずくする。ここに居ても、誰かと一緒に帰ったりできるわけでもない。誰ともペアやトリオを作ることもできず、ひとり群れ離れて階段を降りようとする。


「おい!」
「…えっ」
「帰ろうぜ、何ならちょっと付き合えよ」
「あっ、いや……」


ばつの悪い返事をする直人を追いかけてきたのは、A組隣席の友人。前までと変わらない、まさに悪友といった感じの悪だくみが滲み出る彼の笑顔に、どれだけ救われたことか。それがこれからも続くかもしれないことを思うと、やっぱり今も、助けられてばかりだなと、直人は申し訳なさ半分、感謝の苦笑を浮かべた。


「あ、ああ。
 
 何、なんか面白いことあんの?」
「おうよ、ちょっと小耳に挟んだ
 とっておきの情報があってよ。

 
 っつっても男同士で帰っても面白くねぇからな、
 ゲーセンでも行こうや」
「い、今から?

 …いいね。行こう」
「まあもちろんお前のオゴリだけどな」
「え、マ、マジかよ、
 こないだ500円落としてさ、ちょっと今金欠で…」
「バカ者!男なら勝って取り返さんか!」
「い、いやいやいや、
 ゲーセンで勝っても何にも出ねーだろーが」

 
何やら話ながら降りていく2人。それを視界から消えるまで目で追っていたのは、学園のマドンナだけではない。もう一人の高見家のお隣さんもだった。


元の鞘に収まったように見える、男子の友人同士。
しかし自分は、今まで生きてきた中で一番、幼馴染のあの人から離れてしまったように思う。


…でも今は。
あなたと面と向かって話すわけに、いかない。



自分はあの人にどう思われているのだろう。
どう思われたかったんだろう。どう思ってくれていたんだろう。



……あたしが起こしにいかなくても。
起きれるんじゃない……。


朝から練習していたことを今更思い出して、俯いた。


「だいじょぶ…?
 具合悪いの?」
「あ、ううん。平気…」
「風邪流行ってるから、
 気を付けましょうね。

 うがい手洗い、根性で乗り切りましょう」
「え、ええ…」


都子のぎこちない笑みに、元マネージャーの2人はなんとなく察したかのように、もう根性論を並べたりはしなかった。



多分、つづく

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