きらめき高校吹奏楽部 ~もしきら高に歴代ヒロインがみんな居たら~   根の深いところで繋がる樹

予定変更



ずっと妄想してた話があったんだけど、それをやる前にきら高自体が終わりそうなので、せっかくだからその妄想、滑り込みで入れとくか、ってな感じで導入w次回それを書いて神条さんか先生かかずみんか響野さんの話やろう。


ポケモンももうすぐ発売するし、デュエマアプリも今後始動ってことで、もうええ歳こいてるけど楽しみがしばらくは続きそう。最近仕事がキツくてなかなかこれ書く気が起きないけど、うまく発散してまた向き合っていきたいすね。ゼノブレイドも水面下ではちょくちょく書き足してるんだけどねー、なかなかうpまではいかないw


年が明けて、母校の定期演奏会がある頃にはこの小説も終わらせたい。で、自分の気持ちに区切りをつけて、それを観に行きたいと思ってる。


昔は人の演奏が楽しめなかった。
粗ばっかり探して、こういうところは俺の方が勝ってるとか、こいつなんでこの程度のこともできないのとか思ってた。後輩の演奏なんてもっての他、プライドが邪魔して偉そうに批評を脳裏に書き綴ってた。


でも今は、きっと楽しめると思う。
母校のみんなに、きら高のみんなに、感謝と敬意を。

以下本文
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――人って。そんなに簡単に変わらないと思う。



時間切れと共に、目の前にシャッターが降りて進路が消えた。そんな心境だった。



その言葉は、まさに真理。

投げかけられた美樹原だけに言えることではない。口にした八重自身が紆余曲折の果てに手にした答えであり、この世への悲観であり自分への諦観。それは多くの人間に言えることではないのか。後ろで聞いていた直人には、そう思えてならかった。



そんなことない。

そう言ってやりたい。だが、何を根拠に?実際、人は思ったようには変わらない。忌み嫌う自分という皮を捨て、蝶にでも蛾にでもなれればどんなに良いか。しかしもぞもぞと蠢くイモ虫のまま、自分は他人に不快感を与え続けて止まない、無力なまま変わらない。




…上辺だけ取り繕おうとも、意味がないんだ。

俺の本質…最低な自分は、何も変わらない。すぐに他人の…大人のせいにする、本当は自分に価値がないだけなのに。自業自得なのに。



きらめき高校に来て…俺は、変わろうと努力した。

人を傷つけない言動を心掛けて、誰かの役に立とうとして、優しくあろうとし続けた。でも…不意に抑えていた俺の言葉は飛び出して、誰かを傷つけてきた。本当は謝り足りないことが、もう…数えきれないくらい、きら高のみんなに対してもいっぱいある。



…結局努力なんて意味ない、何度も思わされた。

それが…八重さんの言ってることなんだろうな。





人は簡単には変わらない。

いや、言い換えれば、こうなのかもしれない。…生きる価値がある人、ない人、それは生まれた時から決まってる。ない人に分類された私たちは、諦めていくしかない。と。




…仕方ないよ。




本来なら、自分は美樹原にこう言うべきなのだろう、と直人は思う。

だがそれが、本当に自分の望みか?何も言えない癖にと、また自分を嫌いつつ、直人は美樹原の後ろ姿が立ち尽くすのを、見つめる。



親友であり、決して届かない憧れでもあるのだろう、美樹原は詩織のことをいつも「すごい」「でも…私は詩織ちゃんみたいにはいかないんです…」と、跳べないハードルのように話していた。だからこそ、美樹原はいつも何かしらの努力をしていたのも、同級生としてよく知っている。しかしそれは、今思えばどこか諦め半分だったように、直人には思えてならない。



詩織を目指すことは、間違いではないだろう。彼女が輝いて、男の子の羨望と女の子の嫉視を同時に集めれば集めるほど、それは図らずも実証されていくのだから。しかし、その輝きが強ければ強いほど、近くに居る親友には、自分には無縁な輝きに感じられてしまうのだ。



輝きに照らされれば照らされるほど、映し出されるのは自分の嫌な部分。


そんな経験が、直人にも痛いほどある。

だからこそ、同情の言葉をかけてやりたい。でも、かけてはいけない。



…辛いね、って。

同じように誰かに憧れる側の人間として、そう言ってあげたい。でも、きっと。俺たちが努力を止めたら、悲しいだろうなって思うから…。





この前、渡り廊下でかわしたハイタッチを思い返して、そう思った。


自分もまた、片桐の音、歌心、テクニックをすごいと評したし、あれにはどんなに頑張っても届かないなと諦めていた。だが、今は違う。確かに届かないことは覆りそうにないが、どうにかしてでも並べるようにしなければ、と思っている。片桐がそう望んでくれる限り。



息をつき、心を決めて美樹原の肩に手を置こうとした。

だが、不意に直人の歩みより早く、誰かが彼を追い抜かすと、おもむろに美樹原へと声をかけた。



「ちょっと、よろしくって?」

「えっ…?あの…は、はい…」



長髪を手でなびかせ、香水の香りをきらめき高校の空気に溶け込ませたのは、美樹原や直人と音域の同じ、鏡 魅羅。猫背気味に立つ低身長な美樹原に対し、この歳でファンクラブさえ持つ1年生の女帝が物怖じしない堂々とした態度で声をかけるから、直人は思わず足を止め、息をのむ。…このタイミングで追い打ちかけるようなやばいこと言わなきゃいいけど、鏡さん…。



「あんなの。気にすることなくってよ」

「えっ…あんなのって…」

「言いたい人には言わせておけばいいわ。



 人の苦しみは人それぞれ。

 でもだからこそ、それを肥料に

 気高く咲いてしまえばいいのよ」

  


危惧と真逆の言葉がかけられるのを見て、直人はまたしても、それが自分にも言われているような気がしてしまった。八重は、かけた言葉のバックボーンは語らなかった。鏡もそうだ。皆、思うこと、経験した辛い出来事はある。だが、それを免罪符として同情を誘うのではなく、糧としてしまえと、鏡は言い切った。



「世の中、色々な境遇の方が居るでしょう。

 そんなところで辛いだの苦しいだの言っても、

 相手にされなくても仕方ないわ」



…そうだよね、私の悩みなんて…ちっぽけでくだらない…。




鏡の言葉を受けて、美樹原はふと考えた。

LINEニュースだの何だの、最近は物騒な話が息をするように蔓延っている。災害や事件に事故、過酷な境遇を乗り越えてきた人、そういう話を見れば見るほど、自分の悩みなんて話す価値もないなと気が沈む。



こんなに嫌だなと思うのに、辛いなと思うのに。

でもこの悩みは、自分の心の中から外に出て、人の目に触れた瞬間に価値をなくすのだ。



自分が嫌いとか、何にも得意なことがないとか。

普通に男の子と話せないとか、自慢できることが何もないとか。



そんなのは努力が足りないだけ、可哀想などころかただの自業自得じゃないかと。自分でもそう思うけれど、だからといって死ぬほど頑張ろうとも思えない自分が本当に嫌で嫌で仕方ない。明日も明後日も、何ひとつ変わらない、変われない自分が自分の首を絞め続けるのだ。



誰もわかってくれない。

だってこの悩みは、誰にも言えないから。言った瞬間、無価値になるのだから。なら、わかってもらえるはずがない。



泣きたくなった。

喉元までこみあげてくる嫌な熱に、このまま抗い切れるか自信をなくした時、鏡が言葉を続けてくる。



「自分の苦しみや悩みは、

 自分の中でしか最大限の価値を持てないのよ。

 そのことを誇りに思いさない。




 人は。変われるわ。

 それぞれ違う肥料を持っているんだから。 



  

 そして咲いた時、ほくそ笑んでやればいいのよ。

 周りを囲むミツバチ達に。


 ――この肥料がどんなに苦いかも知らない癖に、と」



そう言って、いつもの「おほほ」というような笑い声とは違う、優しい笑みを浮かべた同い年の女帝の目を、美樹原は見返せなかった。



そしてその慰めにも、応えられる気はしていなかった。



「…あの。


 ごめんなさい…私には、無理だよ…」

「そう言っていては何も解決しないわ。

 あなたがあの人を見返したいと思うなら…」

「――でも!


 でも…できっこない、私なんかに、

 私……。



 ごめんなさい…!」



堪えられなくなったように声を出すと美樹原は、長筒みたいな楽器を抱きかかえるようにして走り出し、渡り廊下の上、直人の横を通りすぎていってしまった。



鏡の追う視線が、美樹原の逃げていった方向、サックス吹きの視線と交錯する。彼は何とも言えない苦い憮然とした顔で鏡に近寄ると、名前を呼び、こう言う。



「鏡さん。


 …自分に出来ることが

 他の人にも出来ると思わない方がいいよ」

「なっ、

 なんですって…?


 私はただ、彼女を…」

「…本当に、そう?」

「…。何が言いたいのかしら、あなた」



睥睨するように敵意の色を持ち鋭くなる鏡の眼光に、直人は歯を食いしばり、「しまった」と胸を痛めた。まるであの視線が、自分の胸を貫いたみたいな、そんな感覚。



…こんな事言う必要ないだろ、なんで…。

俺はただ、ありがとうって言えばよかっただけなんじゃないか、みんなで美樹原さんを支えようとか、そういう風になんで持ってけないんだ、もう、マジで自分が嫌になる……。



「……。


 いや。ごめん。

 なんでもない」

「はっきり言いなさい!


 あなたには前々から言おうと

 思っていたのよ、

 どうしてもっと堂々と

 なさらないのかしら」

「は?…なに、堂々って…何の話」

「総てにおいてよ! 




 部活もそう、普段の生活もそう、

 あなた、何でも人に譲るでしょう、

 主役の座を! 



 やれ片桐さんが吹いた方がいい、

 やれ俺はいいよ、

 そういう所よ!」



鏡の目を見ていられなくなって、渡り廊下のタイルに目線を力なく落とすと、絞るように弱い声で直人は応えた。



「…どうして、って。


 教えたって、くだらないだけっしょ。


 …嫌いだからだよ」

「なっ…主役が嫌だというの?」

「違う。自分。



 嫌なんだよ、自分が。

 変わりたいと思えないくらい」




自分を変えたいと思う事、それは言いかえれば自分の悪い部分を改め、自分の置かれている状況を変え、よりよくしていこうとする事。



だがそれは、自分を偽るということではないのか?

偽って、上辺だけ周りに認められても、それは他者を騙しているということにならないか?罪の上塗りではないか?



そして幸せなんて手にする資格が、自分にあるのか?



「それでも…

 嫌なら変わるしかないでしょう、

 そうしなければ誰を見返すことも――」

「…そこまでして。


 …自分の居場所こじ開けて、

 誰かに迷惑かけてまで

 幸せになりたいと思えない人だって

 居んだろ…」



…だったらもう、消えるしかない。



かつてのあいつはそう思ったのだろうか。前を向けなくなった人間は、自分を諦め切り捨てる。誰かのせいにするでもなく、やけくそになって何かを道連れにするわけでもなく、目も心も閉ざして、それで無に帰し解決してしまえと。



「…なら。


 決して近付かないことね。

 …あの樹には」

「…ああ。


 俺が卒業式の日、あそこにいることは…



 ないよ」



断言すると、話を切り上げ勝手に練習に向かおうとする彼の背に、鏡は、色々な思いを込めて言った。



「勝手になさい」



…なら、何故あなたは練習するの?

何故、もう二度と吹きたくないなんて言って、戻ってくるの。



そんなに主役になるのが嫌なのに、どうしてソロを吹こうというの。それは、あなたが前を向いている証拠ではなくて…?




見たくないのか見たいのか、顔を逸らしておきながらも横目で、去り行く同級生の後ろ姿を見て何か思う鏡。



そんな彼女らのやりとりは、渡り廊下で練習していた人たちに幾らか目撃されていた。特に近くでバスクラリネットを吹いていた女子は、途中から思う所があったのか、音の密度を失い、穴の開いたチーズかスポンジを思わせるかすれた音を吹きながら、自分の音より鏡たちの問答を聞いていたほどだ。



――誰かに迷惑かけてまで幸せになりたいと思えない人だって、居んだろ…。



……やっぱり…そう思う人だってー、いるよねー…。




まるで練習しているその肩を強烈に掴まれたようだった。…おい、お前の話をしてるんだぞ、と。



「宝島」の校内オーディションの日に美樹原が話していたこと、そして直人が今話していた短い話の内容、それらを鑑みるに、直人の考えているであろうことは、寿 美幸にもわかっていた。



それは、「他人を傷つけたくない」ということ。




…美幸がヘンなことに遭うのはー、もう慣れっこだからいいよー…。

でもー、それでみんなが巻き込まれたらー…。




よくお母さんが慰めてくれる。

ダンプに轢かれても、野良犬に追いかけられても、家の床が抜けても、それでもほぼほぼケガ無く過ごせているのは、美幸ちゃんが幸運だからよ、と。きっと自分には悪運があるのだろう。それを自覚してからは、美幸もそんな悪運を助けに、厄事を「ラッキー」だと思うことができるようになった。いや、自分に言い聞かせているだけなのかもしれないが、それでもタフになれたのだ。



だがそんな悪運がすべての人にあるだろうか。

もしも周りの人たちが美幸の遭う不運の数々に見舞われた時、彼ら彼女らは無事でいられるのだろうか。



いや。

もう既に美幸は、無痛の自覚症状と戦っていた。




…直ぽんもメグぴょんもー、もしかしたら美幸のせいであんなことになっちゃってるんじゃ、って…。




それだけではない、引いては今の定期演奏会の喧噪、麻生先生が辞めるとか辞めないとか、伊集院 レイが家を追い出されたとか、そういう話のすべての根っこは、地中深く伸びて、いずれも美幸の足元まで伸びているのではないか、いや、自分から蔓延った病原菌なのではないか。そういう不安が胸の内にこびりついて、本当は練習どころではないのだ。




……。美幸、本当はー…もう、部活に居ちゃいけないのかなー…。


みんなの事好きだしー、みんな美幸と仲良くしてくれてー…本当にハッピーだけど…。




自分だけ幸せでいいのか?

周りの人を不幸にしておいて?



直人の言っていたことが、普段目を背けて耳をふさいでいる不都合なことに、目を向けろと言っているかのように思える。



――俺はずっと、どうしたら昔やったことを償えるか、考え続けてる。でも、本当はそんなチャンスさえ捨てて、居なくなった方が…これ以上、罪の上塗りにならないのかもしれない。



――……それ、ゆっきーもそうじゃないの?



胸が痛んだ。

そんなこと、直ぽんが言うわけない、でも、いつか言われるんじゃないかって、そう思うのは、美幸が人のせいにしたいだけなのかな。美幸は可哀想な子だから仕方ないって、自分に言い訳したいのかな。そう思うと、もう楽器も吹いていられなくて、苦しくて、俯いてしまう。




…美幸ー…このまま、ここに居ていいのかなー…。



へーきでもだいじょびでもない心境、これ以上練習していたら、胸が詰まってしまいそうだった。でも、周りはみんな練習している。彼のよく伸びる暖かい音も聞こえてくる。だから、苦しくても悲しくても、余計に自分が許せなくなるばかりだった。






















翌日。


放課後になって部活が始まる頃、事件が起きた。だが皮肉にも、そこに寿 美幸は居なかった。否、居ない事こそが問題だった。



「だめです、電話にも出てくれません…」

「誰も聞いていませんか、寿さんのこと」

「ううん、なんにも…」




学校には来ていた、だが部活の時間になっても美幸が姿を現さない。おかしいと思って同じパートの者を中心に連絡を取ろうと試みたが、仲良しの白雪でさえ電話が繋がらない。しかも誰も用事があるとは聞いていない。



雲行きの怪しさに、部活開始の点呼が滞る。



「でも美幸ちゃんのことだし、

 また何かあっただけじゃ…」

「そうそう、その内またひょっこり

 やってくるんじゃ…」

「…。いや。

 本当にそうでしょうか」



星川たちの楽観を跳ね除けて、伊集院はおもむろに席を立つと、点呼中にも関わらず、変わった色のテナーサックスを持ち座る男子の席に、歩み寄ると、彼に向けて言った。



「こうなったのも。

 君に一因あるんじゃないのかい」

「…俺?



 俺は、ゆ…寿さんには、何にも…」

「合奏中、パート・セクション練習中…

 君が彼女に威圧感を与えたのではないかね?




 彼女はその重圧に耐えかね、

 そして今日…」

「いや、待ってよ、俺はそんなに厳しく寿さんに…」

「――君がどう思おうと!!



 彼女がそう受け取ったなら君が一因しているといえる、

 そうじゃないのか!!」 



らしくない熱くなった様子で早口でまくし立てた御曹司の顔が、怒気に赤く染まっている。その顔を見ていられなくて、直人は目を伏せ、ぽつりと言った。「ごめん」。だがそんな言葉で許されるはずもなく、中性的といえるほど美しい少年の白い頬が怪訝に持ち上がる。



先生はこれを制止しようと伊集院の名を呼んだが、彼はそれに応じず、手を挙げて「いいや、いい機会です、言わせてください」と大人顔負けの発言力で、直人だけでなく部全体に向けて発信するかのように、言葉を続けた。



「もっと想像力を働かせてもらいたい…!



 昨今、学校内でのいじめやトラブルで

 不登校やそれ以上の事態に追いつめられる

 生徒が数多く報道されている。



 水面下ではさらに多くの者が苦しんでいる

 であろうことは、想像に難くないだろう。



 それが何故身の回りで起こるかもしれないと

 想定できない? 



 僕はいち生徒として、

 きらめき高校に通う生徒には

 誰ひとりそんな目に遭ってほしくはないと

 切に願っている。




 君も。渡井さんも。

 危機感を持った上でご自分の発言を

 してもらいたい。いいですか――」



2人からの返事はない。反論さえも無かった。



これで部内の合奏中の雰囲気は、また先生以外殆ど指示指摘をしない、受け身のものになっていくだろう。だがこれは、伊集院の演じた芝居だった。



「彼らには申し訳ないが、

 これも部の全員が定期演奏会の舞台に

 そろい踏みするためのこと」



号令が終わった後、星川や牧原に向けて密かに、伊集院は自分の胸中を明かした。わざと大ごとにしたのだと。



「彼も辛いはずです、

 けれどそこは名門中学の吹奏楽部を

 やりぬき、今も苦しみに耐えて復活した

 彼を信じるしかないでしょう」



心苦しい、だが誰かが言わなければならないことだと苦々しい表情で付け加える伊集院。



…君からすれば、定演を前にして、自分が家に戻るために必死になっていると映るだろう。…きっと、嫌われることだろうね。




だが僕は…伊集院 レイとして生きている以上、その役を演じ続けなければならない。


上に立つ者として…下の者をどう動かす、どう守る、どう賄う…延々考え続けていく必要がある。



……ごめん、か。

フッ、僕が地に堕ちようとも、やはり君と僕とを遮る壁は、お構いなしにそこへ居続けるらしい。


…なら、憎んでくれ。

いっそ憎んで、僕の居場所をその胸中のどこかに作ってやってくれ。…それで十分さ、甘美な罰など。




「それにしても、寿さんは…どうしたんでしょうか、

 本当に」

「うん、ほんとだよね…。



 またへーきへーきだったらいいけど…」



今は待つことしかできない、けれど定期的に電話はしよう、そう話してクラリネットパートも解散していく。



だがこれも皮肉にも、美幸が懸念した根は、今も地中深くで伸び続け、より大きな問題をも絡め取ろうとしていることを、誰もまだ知らなかった。




多分、つづく




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