きらめき高校吹奏楽部 ~もしきら高に歴代ヒロインがみんな居たら~  ツテに頼って

切りどころを見失った。そしてまたこんな展開なっててごめんww


こんばんは。
ファイアーエムブレムヒーローズにハマりました、バギクロスです。なので更新今後も遅れますww

FEはですね、ぼく新紋章とifをやってないんですが、あとはおよそすべてやってまして、一番好きなキャラはフィンです。次にリーフですかね。とにかくスーファミ勢、特にレンスター勢が大好きです。ネフェニーとかシノンとかも好きですけどね。


ヒーローズにはまだ紋章という枠で捉えない限りはSFC勢が未だ出てないことになるんですが、見覚えのあるキャラが多くてなつかし悶えしてますwああもうこうなったら知らないキャラとかぜってーつかわねーわ!とか思ってたんですが、ifのキャラは結構サムネがオタクに媚びてる傾向を少し感じる美少女が多いし、しかも強いし、結局知らないキャラを使って楽しんでしまってますww


特にアクア、君のことは何も知らんけど惚れたww
ルミナスアークのルナルナといい、ああいう水色カラーの清楚系大好きなんよぼくwwそしてアクアめちゃくちゃ強いっていうね!


再行動踊り子系があんな戦えたらアカンやろ!打点出せるし周囲魔防バフ付いてるし、単に踊り子として枠潰すんじゃなくて普通に青枠で入れれるからやばい。あと普通に再行動やばい。闘技場あんま勝てなかったぼくが今じゃ上級7連勝できてるのは完全にアクアのおかげですほんとうにありがとうございました。


これもう今後踊り子系出ても入れ替えん奴やんこれwいやリュシオンが原作通りなら使わんこともないかなぁ。あとkiriaさんワンチャン出てくれんかな。ずっとファンでした結婚してください(おい

以下本文
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アザや擦り傷だけでなく、打ち身になっているところも多い身体を圧して、ケンカの敗者は河川敷公園まで仲間の力を借りながら、歩いてきた。負けたとはいえ、その人柄やそれまでの威光を尊敬する後輩らや仲間たちは、ボロボロの頭領を案じて、不安げに声をかける。


「だ、だいじょぶなんすか」
「病院、行った方がいいんじゃ…」


だが、息も絶え絶えにブランコに腰掛けて苦しげに顔をゆがめるその人物は、首を横に振り、ブランコを囲う不良仲間たちに強がりで応じた。


「いいよ、これぐらい…。
 誰だっていい歳でケンカすりゃこうなるだろ…」
「で、でも!」
「そうっすよ!
 あいつ…あのワル男とかいう奴…!

 
 フツーじゃねっすよあいつ!」
「あ、ああ!
 強いとかじゃなかった、もっとこう…。


 なんか、おかしかったっすよ!」


口々に、相手の反則で負けた試合を、後になって仲間内で愚痴を言い合うような雰囲気。それほど、彼らにとってサシのケンカは、大事な出来事なのだ。たとえ自分が参加していようといまいと。


「あいつ、服ン中なんか着てんじゃねっすかあれ!?
 プロテクターっつーか、なんか…」
「だよな!?
 あいつ、殴られたとき変な音してたもんな!?」
「――ああもう!よしな!

 終わったこと愚痴愚痴言って、お前らそれでも
 男かい、ヤンキーかい!

  
 …どうであろうがこっちが負けた。
 それだけだろ」


そう言うリーダーに、さすがだと感服しつつも、仲間たちはその心意気が負けという事実で踏みにじられるのが、辛かった。もちろん、直接負けた本人も、悔しくないはずはない。顔を苦痛に歪めているのは、決して物理的な痛みのみが原因ではないのだ。


「…負けたからには、
 一応筋は通さなきゃなんないよな」
「そうじゃなきゃ、きら高の吹部の子ら、
 あいつらに襲われるかもしれんっすもんね…」
「……。
 そりゃ関係ないよ。

 
 別に正義の味方ってわけじゃないんだ。
 そういうのはオマワリさんにでも任せときゃいいだろ。


 …ただ、ウチらはウチらの筋通さなきゃ。
 あの人らが作ってきた流儀さえ、失われちまう」
「あの人ら…総番のことっすか」
「ああ。

 だから、約束した以上は。やらなきゃな。

 ――「魔法使い」を」


バンテージを巻いた拳を掌で受け止め、苦く歯を食いしばる。自分もきらめき高校の生徒である以上、殆どそれは同士討ちに近いそれ。さらにいえば、本来部活一辺倒の「魔法使い」本人も、望んではいない戦いだ。



…全部見てきたわけじゃないが、いつもお前は、成り行きでその拳…というか剣、振るってきたんだろうな。お前が一番頑張りたい場所で、頑張りたいがために。


…なのに“また”こっちから仕掛けるなんて。
…でも悪いけどな。お前の守りたいもの守るためにも、仕方ないんだよ、これは…。


「…18時過ぎには、この辺を通るだろ」
「ま、「魔法番長」がっすか」
「ばか言え。ありゃ番長なんかじゃないよ。
 ただのチャラい魔法使いさ。

 
 …ただ、「木枯らし」さんや総番までヤってると来ちゃ、
 もうただのチャラ男じゃないだろうね。


 …だから、一辺見とこうや。
 今のあいつの、魔法使いの戦い方(やりかた)って奴をさ」


うっす、おっす、YOーと、バラバラな気合の声が部活みたいに上がる。それを訊いて、痛みの中で、静かに自分の拳を見て、ブランコに座る人物は、思った。


…ごめんな。





















河川敷でのそんな動きの2時間前。

指輪を取られた魔法使いが屋上から帰ってくると、音楽室の話はだいぶ進展を迎えていた。祖父からの指令を実行すべく、伊集院 レイが、定期演奏会を開くのに必要な費用の見積もりを出し、いつまでにそれを集めればいいのかをおおよそ示したことで、より現実的な課題が見えてきたのだ。


また、曲目も幾らかは埋まっていた。

麻生 華澄が顧問として配った楽譜は、「宝島(響野 里澄 編曲)」、「エアーズ(過去の吹奏楽コンクール課題曲)」ぐらいのもの。それに加えて、もともとこの学校で名門だった元祖きらめき高校 吹奏楽部は、定期演奏会のオープニングに決まって「きらめきマーチ」を演奏していたので、その伝統は受け継ごうということで話が進んだらしい。黒板には先の2曲と共にこの行進曲の名前も並んでいる。


そしてもうひとつ、「Life is show time」なる曲もあるのだが、有名な吹奏楽の楽曲の知識に比較的明るい直人でも、この曲はよく知らなかった。


「あれ、何の曲?」
「どれ?」
「あの英語のやつ」
「なんか、超戦士ドラゴンの曲?らしいよ」


自分の席で、隣の幼馴染に耳打ちすると、小さい頃にごっこ遊びをした番組のタイトルが告げられて、なぜか彼は不意にぎくりとした。それはそう、ある意味彼は、世界征服をもくろむ悪の科学者の目論見を打ち破り、超戦士そのものになったかのような過去があるのだから。


「あ、てか楽譜あるんだ」


また、その曲の楽譜はすでに配られているようだった。光の譜面台に、アルトサックス2ndのパート譜が置いてあるからだ。


「うん、去年に一度やったんだって」


…そっか、そういやウィザードって去年からこないだの秋までだったもんな…。


ただ、どうして終わった番組の主題歌を演奏するのか。世間の子供たちはもう、果物と竜の超戦士、ドラゴン鎧武に夢中なはずなのに。その疑問は、ちょっと言い辛そうな引き攣り気味の笑みで、光から説明された。


「あら、テナーの楽譜は?」
「えっと……。


 君は、この曲、吹くんじゃなくてさ」
「え?う、うん」
「ほら、あのさ。
 文化祭の仮装行列みたいに、あれ着て、前でショーみたいなのやるんだって」
「は!?」


まだ話し合いの最中なのに、声を上げてしまった直人に視線が集中する。だが、この際だとばかり、彼は立ち上がって、場の進行を仕切る幼馴染に説明を求めた。


「ちょ、ちょいちょいちょい!


 え?マジ?
 また俺、ウィザードやんの!?」


自分の居ないところで勝手に進んでいた話。まさか先ほど聞こえた拍手は、このことなのだろうか。げんなりしたような驚いたようななんともいえない顔のチャラい幼馴染に、お隣さんは釈明する。



「えっと…そういうことで話が進んでいたんだけれど…。


 やっぱり色んな年齢層の人が聞ける演目があった方が
 いいっていう意見があって、ちょうど楽譜もあるし、
 それに、衣装もすぐに用意できてこういうのに慣れてる人が居るなら、
 準備の手間もずいぶん省けるんじゃないかって…」
「そう!あたし、まだあそこでバイトしてるからさ、
 すぐ借りれると思うんだよね!」
「えっ、ま、マジか…」
「だいじょぶだって!
 お兄ちゃんも言ってたよ!


 あいつの動きは本当に魔法みたいで
 やり辛いって!」
「マジで…?」
「お願い、直人君…。
 
 定期演奏会までは時間がないわ。
 本番までにたくさんの曲を用意するためにも、
 少しでも都合の付く曲があるなら、やらない手はないと思うの…」

 
かつて助けたオデット姫に懇願されると、もう魔法使いも「マジだ、これ…」と頭を抱えつつも了承するしかなくなる。怪物の役や衣装、ショーの内容はまだわからないが、脚本家の方は、すでに決まっているらしい。



「台本の方はまた、私が書かせていただきますので」
「また?

 …あっ、そっか。
 
 文化祭の時も、白雪さんが「白鳥の湖」の話、アレンジ
 してたんだっけ」
「はい。
 とはいっても、魔法使いさんを出すつもりはなかったんですけど」
「あ、あはは…」
「…あの時、私の初めて書いた物語を守ってくれた魔法使いさん。
 あの方はいったい、誰なんでしょうか…。
 

 王子役の白鳥さんはあの時倒れていたそうですし…。

 
 ああ、きっと妖精さんが力を貸してくれたに違いないのに…。
 お礼もいえないなんて…」



胸に手をやって、悩ましい表情を象る占い師兼脚本家。


彼女が天を仰いでいる間に、彼女の物語に生きた姫と魔法使いが目を合わせるが、魔法使いは人差し指を自らの唇に当てて、「内緒にしとこ」。姫もそれに頷いたから、直人は「あ、すいません話さえぎって」と、話し合いの空気を呼び戻して、席に座った。結局なんだかんだ、それ以上抗議しなかったのは、彼も龍の魔法使いに、多少の思い入れがあるからに違いない。


それから、遅ればせながら美樹原 愛が音楽室に入ってきた。


「ご、ごめんなさい」


誰にともなく謝ってぺこぺこ頭を下げる彼女のそれは、取り様によっては「私はやっぱり頑張れません」にも聞こえなくも無い。だが、今、司会をしている親友は、その意図を正しく汲み取って、彼女を話し合いの空気に溶け込ませてくれた。


「ううん。いいの、メグ。
 また頑張ろうね」
「う、うん。ありがとう…」


指揮台の前を横切って、申し訳なさそうに若干うつむき加減で席に戻る、木低の要の少女。と、彼女が席に至るその前に、突然、ひとつ手が上がった。


「ひとつ、よろしいかしら?」
「ええ、どうぞ」


手を挙げたのは、もう一人の学園のマドンナ筆頭、この歳で非公式なファンクラブを持つ美少女。立ち上がり、髪をふわっとなびかせて、そんなつもりもないのに、見事にみんなの目を引いた。立つだけで。


「伊集院君が先ほどおっしゃっていたけれど、
 ホールを借りて演奏会をするなら、相応のお金が
 必要になるんでしょう」
「え、ええ」
「…それが目標通り集まったとして。


 そんな大金を私(わたくし)たちで動かして、
 学校や先生方は、何も言わないのかしら。

 
 どこから集めたのかと不思議がられるでしょうし、
 そもそも企業や病院にお金を出してもらえるよう
 お願いすること自体、勝手にやっていいことでは
 ないんじゃなくって?」


さすがに鏡さん、お金廻りのことにはうるさそう…と思った人も居るとか居ないとか。ただ、お金を動かすことに慣れているが故のそれではなく、本当は少しのお金でも慎重に使うことを知っているからこその、この言動なのだが。それを知る人は、この中には極わずかしか居ない。


ただ、言うことは間違いではない。
まずその許可を、パトリシアの演奏会と同じように学校に仰がねばならないが、華澄の現状を鑑みるに、許可自体が降りない可能性が高い。そうなれば、せっかく決起しても、動くことすら許されない。


「誰か…頼れる人って、居ないのかしら。

 学校の中では、それも難しいのかな…」
「う~ん…。
 
 校長先生、とか?」
「…いいえ、難しいでしょう。
 そもそも伊集院財閥自体が今回の演奏会に 
 スポンサー提供しないために、開催が問題視されているのですから」


星川の自信なさげなそれも、伊集院が首を静かに横へ振って、否定する。だが、否定的な見方を示しても、代替案が出ないのでは進展が一向に見えない。


「でも、麻生先生以外にこの部に味方してくれる
 大人って、居るのかな…?」
「…吹奏楽連盟自体が難色を示しているとなると、
 なかなか教育者関係では難しいかもしれませんね…」


隣同士で話すのは、伊集院と牧原。
他にも、あちこちで「誰か居るっけ…」と、心当たりを話し合う声がぽつぽつ。


「打楽器の先生?じゃ、だめだし…」
「今まで私たちに味方してくれた大人って、
 誰か…」
「…あ」


思わず声を漏らして顔を上げたのは、かつて心からの感謝の念を示した大人に、麻生 華澄以外で心当たりがあるサックス吹きだった。彼は、コアラみたいな髪型の子や、隣席の元陸上部の視線を受けながら、かつて乾坤一擲の勝負に大どんでん返しの5票を入れてくれた、あの大人の名前を出した。


「あれ。
 
 爆裂山先生は」
「…ハッ、何を言う。
 あの方は他校の校長先生じゃないか」
「だけど。
 華澄先生が校内アンコンした時に吹部の先生じゃなく
 あの人呼んできたのは、何かあるんじゃないのか。


 単に華澄先生の恩師ってだけかもしれないし、
 もっと深い理由があったかもしれない」
「深い理由…?」
「…もともときら高とひび高の吹部は、
 隣街同士でよきライバルっていうか、
 そんな感じだったって爆裂山先生や皐月先輩が言ってた。


 それに、爆裂山先生はきら高の吹部を作った人を
 知ってるっぽい。

 
 だからなんかきら高の吹部に関して、何かしら面倒を見る流れが
 あったのかもしれない。

 
 …部員がゼロになって再出発したきら高の吹部のことを
 心配して、まだ顧問に成り立ての華澄先生を
 手助けしようとしてたって可能性は、十分ある」
「憶測に過ぎない話だな。


 ただ…まあ、庶民にしては良い読みかもしれないが」


確かに他校の人物。しかし今や市内、いや県内の教育関係者の中でも古株、体躯同様、顔も大きく広く、その声の大きさはなかなか無視できたものではない。


もしかすると助力を求めても、駄目といわれるかもしれない。だが、小さいとはいえ限りなくゼロに近いとまではいえない可能性が出てきたことは、進展だった。


「でしょ。

 でも…どうやったら爆裂山先生と話せんのかな、このこと…」


A組の前列の男子と後列の男子がそう話すところ。
と、そこに、突如声が割って入った。


「なぁ、お前ら、
 和美ちゃんの話してんのか?」
「え?」


一文字の横に後ろ向きで椅子を着けて、背もたれに腕を預けた格好でがに股座りをする生徒会長の声が、あっけらかんと尋ねる。その「和美ちゃん」が誰のことだかわかった者は殆どおらず、渡井などは「あ、あたし?」と自分を指差してしまう。


「だーかーら。
 和美ちゃんに会うって話だろ?

 
 爆裂山 和美」
「あ、うん。
 そうだけど……って。


 え?和美ちゃんて。
 あれ?知り合いなの!?」
「おうよ。
 あたしと和美ちゃんはマブダチだかんな。

 
 会いたいなら話つけてやるぜ」
「えーっ、マジか!…え、マジで?」
「マジだ!なんだったら電話かけるか?今」
「い、いやいや!
 電話で話せるような軽い話じゃないし、これ…!」
「だーっ、なんだよそれ煮え切らねーな!
 じゃあどうすんだよ」


めんどくせーなと言わんばかりに腕を組んで怪訝な顔をする、生徒会長の腕章をしたまま部活に来ている彼女の気が変わらない内に、答えを出さなければならない。そう勘付いた直人は、引き攣った顔ですぐさま答えた。


「わ、わかった!
 俺がひび高行って直接話すわ。 
 
 だからアポ取ってよ」
「あぽー?ウチの爺ちゃん家のりんごか?」
「い、いやいや。
 いつ会えるか約束取り付けて、ってこと」
「んだそれ、お前いちいちチャラ語使うんじゃねーよ、
 わっかんねーじゃねーか!」
「ちゃ、チャラ語ってなに」
「まー、けど、だったらあたしも行くぜ。
 久しぶりに和美ちゃんと遊びてーしな。にひひ」

 
いつもはそんなに言及されない彼の「チャラ語」がダイレクトに突かれるものだから、音楽室内には、ほむらの度し難い独特な空気とその余韻が急速に波及していった。確かに日ごろ、よく高見君は変な言葉を使ったりするなと同意するような声もちらほら聞けるし、水無月や語堂などは、何か含みのある咳払いをして、それぞれ隣の明るい同級生の苦笑いを誘ってしまう。


が、そんなざわざわしたこの空気も、しっかり者の詩織がきちんと入れ替える。


「でも…直人君、ひびきの高校の場所や
 中の様子は知ってるの?」
「ああ、まあ。
 渡瀬にでも聞くし、なんとかなるっしょ」
「あっ…そうね、それができるなら、大丈夫よね。


 …赤井さん。 
 爆裂山先生とは、ちゃんと約束つけられる?」


またそんなこと訊いたら「なんだよ疑ってんのか!?」と怒るんじゃないのか。ちょっとそう思った直人や好雄だったが、なぜか赤井の返事は嫌に素直だった。


「あ、はい」


何か詩織に弱味でも握られてるんじゃないかと思うくらい、きょとんとした返事。音楽室にはところどころ、苦笑が首をかしげた。


…なに今の「あ、はい」は。
「あ、はい」のスペシャリストかっていうぐらい自然だったし…。


思わず直人のいつもの苦笑も、微笑寄りになってしまう。

そこで、時刻は5時。もう部活ができる時間も限られる。そのため、残りの1時間は基礎練習に使って解散にしようという流れが起こり、今日の話し合いはここまでとなった。



曲目も少しは決まり、集めるべき金額も見え、とりあえず入り口に立つことはできたと見ていいだろうか。いや、鏡の言う通り、大人の許可がなければ結局、どんなに丁寧に描こうが、絵に書いた餅はそれ以上にならない。


つまり、味方してくれる大人が必ずしも爆裂山 和美である必要はないが、彼が味方してくれればそれに越したことはないし、そうでなくてはまた話し合いは迷路に行き着いてしまう。


そのため、直人も自分に課せられた責任の重さを感じ、練習が終わった後で赤井に釘を刺しに行ったのだが、案外生徒会長は仕事が速かった。


「じゃあ赤井さん。
 頼むね」
「ああ、電話ならさっきしといたぜ」
「え!もう!?」
「おうよ!
 明日な。授業終わったらお前、あたしのクラス来いよ」
「明日!?
 お、オッケ、わかった」


それにしても赤井と爆裂山の関係とは如何なるものなのか。その辺りもまた明日にでも聞いてみればいいかと、赤井と別れてきびすを返し、ひとつ思い当たる節をちらっと見やる。


が、


「直人君!途中まで一緒に帰ろっ!」


違う方から声をかけられて、視線がぐいっと曲げられた。だが、もともと気になっていた方は、“朝起こしに来ない方”のお隣さんが声をかけていたので、そちらに任せることにした。


…美樹原さん、まだ思い悩んでる感じだったけど…。
詩織がついてるならだいじょぶか、まあ…。


「ああ、うん。
 俺も、声かけよっかなって思ってたとこ」
「ほんと?
 えへへ…気、合うね、なんか!

 
 …あっ、そうだ。都子ちゃんにも声かけよっか」
「うん。じゃあ、そうしよっか」

 
じゃあ詩織ちゃんも…となる流れなのだが、譜面台を片付けるがてらに美樹原と話しているところを見ると、ちょっと声もかけにくいねという話になり、結局、春ごろから何度も顔を揃えてきた3人で帰る流れになった。


「よかったよね、ちょっとでも前進できてさぁ」
「ええ、ほんとね。
 まだ心配なところも多いけど、ちょっとずつ動いてきたわよね。
 
 
 あとは、誰かさんがちゃんと爆裂山先生に話をしてくれれば
 本格的にスタートできるんだけど」
「そうだね、責任重大だね!
 …あれ?」
「……」
「…って、ちょっと。
 訊いてる?」
「……え。
  
 あ、ああ。うん。わかってるって。
 吹部のことなんだし。適当に話したりしないって…」


なぜか顔を引き攣らせて、少しぶっきらぼうに答える彼。暗くなりかけている土手の空の下、談笑していた女の子たちも、すーっと笑いが引いていく。


「そ、そうよね。ごめん…」
「…あ、いや。言い方きつかった、よね。
 ごめん」
「……。

 直人君、何か、考え事…?」
「あ、いやいや、そういうわけでもないけど、ただ…。

 ちょっと疲れただけ」


やっぱり引き攣ってごまかし笑いする彼の顔が、何かを隠しているのを、光はうすうすわかっていた。というか、この7年越しに再会した高見 直人という人は、基本に耳が良い。職業柄だろうか。だのに彼が話に入ってこなかったり、レスポンスが返ってこない時は、だいたい何か悩んでいることがある…と、光にもわかってきたのだ。


「そう?

 何かあるんだったらえんりょしないで話してね。
 いつでもいいし」
「ああ、うん。ありがと」


そうはいっても直人のこの悩みはあまり光や都子でも、話し難いことだった。この現実離れした悩み…それは、先ほど部活の時、紐緒に言われたことである。


――何か症状が現れたら、医療機関には行かず、私のところに来なさい。


…多分、大丈夫。
何も変なところはない。あのドライバーを使ってから何かあったといえば、風邪引いたことぐらいだし。


でも…。


――握力や跳躍力など、運動神経が向上したりしていない?


…俺が「木枯らし番長」さんを倒せたのも、その影響…じゃ、ないよなぁ?あれは赤井さんたちが居てくれたからだよね、多分…。もし変なことなってたら…。それに、俺っぽい人を探してる他校の連中っていうのも気になるし…。





色々と気になるのだが、なんとなく紐緒には話し辛い。もともと吹奏楽部の邪魔をしてきた人物だし、医療機関ではなく自分のところに来いというのも、データが取りたいとかそんな理由と考えて然る。


ならどうするか。話すとすれば、もうひとりの科学部の天才だろうか。文化祭において、自分に味方してくれた過去もある。ただ、彼女も紐緒同様、少し普通ではない感じも否めない。本当に話していいのかどうか、躊躇われる。



と、そんな悩みを光の微笑に頷きながら、自分の中に封じ込めた時、行く手に何か3人程度の人影が見えてきた。まるで直人たちを待っているかのようにこちらを見ながらだらけた風貌で立っているそれは、恐らく不良とかそういう人たちに違いなかった。


土手は一直線。このまま進めばまず、彼らに出くわす。


「ど、どうしよう、直人君…。
 こっち見てない…?」
「見てるっぽい…よなぁ。
 
 いや、でも、そんなヤンキーのみんながみんな、
 道行く人全員にケンカふっかけたりナンパしたりしないっしょ」
「そ、そうよね」
「ふ、ふつうにしてたらだいじょぶだよね!」
「そそ。ふつうに通り過ぎよ。
 なんか話しながら」

 
とは言っても、直人の念頭には、「指輪の魔法使い」を探す他校の不良の噂がある。彼らが自分のことを探して他のきら高生に危害を加えているなら、それを終わらせるために自分が出て行く必要もあるかもしれない、と思うところも当然あるし、ただ自分が何のために探されているのか考えると、恐ろしいところも当然ある。


…もしケンカになったらどうする…。
仲間呼ばれたりしたら、2人を守りながら戦うなんて無理ゲーじゃね…?



何事もなく済んでほしい。
恐怖と緊張と祈りで気もそぞろな雑談をしながら歩を進める度、目の前の革ジャンやジャージを着た悪い雰囲気の少年たちが近付いていく。


10m、5m…まだ話しかけられない、だが明らかに視線はこちらに向けられている。同年代なのにもう髪を金に染めている者も見えて、光などはもう辺りの暗さも相俟って、雑談どころではなかった。


そしてついに、ポニーテールの彼女の鞄に着いたうさぎさんが当たってしまいそうな距離ですれ違う。しかし何も言われない。


が、完全に通り過ぎてそう思われた時、


「あのぉぉ、さーせん!」


通り過ぎた後で声をかけられ、女子2人は「あちゃー…」と不安に目を閉じ、男子の方は「やっぱり…」と楽器ケースで重い肩を落として息をつく。


「はい。なんすか」


振り返って返事をしたのは男子のみ。不良たちは顔を見合わせて何かばつの悪い顔をした後、改めてチャラそうな吹部男子に尋ねた。


「人探ししてんすけどぉ。
 いっすか?訊いて」
「ああ、いいよ


 てか。俺の方から当てていい?
 誰、探してるか」
「おおぉ!?マジ!?
 じゃあ当ててみてよ是非、チャラ男さん」
「…うん。

 それ。
 きらめき高校に居る「指輪の魔法使い」、でしょ」


何故か嫌に話が通じていることに、都子も光も違和感を覚えながらも、直人からはやや離れて事の顛末を見守る。彼女らからは見えないが、「チャラ男さん」呼ばわりされた彼は、実に澄ました顔で質疑応答に望んでいた。


また、不良たちも、異様なほど円滑に話が進むものだから、どう目的のケンカに持っていこうか困り、空気の遷移に四苦八苦しているようだった。


「おおーっ!正解っ!拍手っ!」
「うぇーいっ!」


わざとうるさく拍手して、この静かな土手の空気を自分のものにしようと、声を張る。強引なクレッシェンドのない強弱推移に、サックス吹きの表情がわずか曇る。


「え!?なんでわかんの!?
 天才!?」
「…なんでわかったか。


 それは多分。
 俺がその、魔法使いだから。なんじゃない?」
「ハァ!?
 
 それマジで言ってんの!?」
「多分ね。

 で。どう言ったら、信じてもらえんの?」
「はっ、上等じゃん!

 下で証拠見せろよ! 
 これで!」


これ、と言いながら自信の笑みと共に拳を前に突き出す、黒ジャージの少年。そしてこの場所はちょうど、河川敷公園の入り口に当たる階段の前だった。


春には、ここで総番長の洗礼を受けたし、借りも返した。
そんな場所で再び開演というのも奇縁だが、この魔法使いはいつも一人では舞えない。そのせいか、急に辺りをきょろきょろ見回すのだが、また奇しくも、都合よく配達時間を節約しようとやってきたピザ屋のバイクが見えてきたので、苦笑しつつも、魔法使いは頷いた。


「ああ。
 お望み通り、あんたらの見たい奴を見せてやるよ」



多分、つづく






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